2024年12月15日(2089号) ピックアップニュース
オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟
東京地裁(岡田幸人裁判長)の不当判決に抗議する
11月28日、オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟の一審判決が原告の請求を棄却したことを受け、協会は下記の抗議声明を発表した。
オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟
原告は、保険医療機関にオンライン資格確認を療養担当規則で義務付けたのは、健康保険法70条1項による授権の範囲を超えているとして、違憲無効であるとしたが、岡田裁判長は、判決文で健康保険法70条1項が「療養の給付を『担当』しなければならない」としているのは受給資格の確認を省令等に委任していることが明確な児童福祉法21条や生活保護法50条1項等が「医療を担当しなければならない」としていることと同様で、「本件各規定は、健康保険法70条1項による明確な授権にもとづいて定められたものであ(る)」とした。
しかし、「担当」という文言に着目するのではなく、公判で原告が指摘してきたように本来であれば、「医療」を担当するのか「療養の給付」を担当するのかという文言に着目すれば、健康保険法70条1項が「医療」より限定的な「療養の給付」に限って、療養担当規則に授権していると解することは当然であり、国の主張をそのまま採用した今回の判断は不当であるといわざるを得ない。
また、原告が平成25年最判を援用し、「委任命令によって制約されるべき権利利益の性質やこれに対する制約の範囲及び程度が大きいことに鑑みそれとの相関関係において、必要とされる授権規定の明確性の程度がより高くなる」と主張したことについて、オンライン資格確認義務化は診療行為そのものを規制しない、免除規定がある、財政支援が行われている点を挙げて、本件に妥当しないとした。
この背景には、医療機関が受ける制約に比べて、オンライン資格確認の導入で得られる利点の方を重視した判断があるが、これは「過誤請求ないし不正請求を防ぐことが相当程度期待し得る」「薬剤情報等を共有することで、提供される医療の質の向上も期待できる」などという国の説明を鵜呑みにしたもので、現場感覚からかけ離れたものであると言わざるを得ない。さらに、国の説明に対して、原告が示したトラブル事例や廃業を余儀なくされた事例について、「特定の団体内の意見」「全国保険医団体連合会の調査結果等にとどまり、回答率も必ずしも高くはない」などとまともに取り上げないという姿勢は、各協会・医会の全会員への侮辱であり、到底容認できるものではない。
兵庫協会は、今後、東京保険医協会とともに控訴審で展開される裁判闘争と同時に、マイナ保険証の欠点を指摘し続け、健康保険証の存続を求めるとともに、市民にマイナ保険証の紐づけ解除を促し、各保険者に資格確認書を全被保険者に発行するよう運動に全力を尽くす決意である。
2024年11月29日
オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟
東京地裁(岡田幸人裁判長)の不当判決に抗議する
兵庫県保険医協会
理事長 西山裕康
歯科部会長 加藤擁一
原告は、保険医療機関にオンライン資格確認を療養担当規則で義務付けたのは、健康保険法70条1項による授権の範囲を超えているとして、違憲無効であるとしたが、岡田裁判長は、判決文で健康保険法70条1項が「療養の給付を『担当』しなければならない」としているのは受給資格の確認を省令等に委任していることが明確な児童福祉法21条や生活保護法50条1項等が「医療を担当しなければならない」としていることと同様で、「本件各規定は、健康保険法70条1項による明確な授権にもとづいて定められたものであ(る)」とした。
しかし、「担当」という文言に着目するのではなく、公判で原告が指摘してきたように本来であれば、「医療」を担当するのか「療養の給付」を担当するのかという文言に着目すれば、健康保険法70条1項が「医療」より限定的な「療養の給付」に限って、療養担当規則に授権していると解することは当然であり、国の主張をそのまま採用した今回の判断は不当であるといわざるを得ない。
また、原告が平成25年最判を援用し、「委任命令によって制約されるべき権利利益の性質やこれに対する制約の範囲及び程度が大きいことに鑑みそれとの相関関係において、必要とされる授権規定の明確性の程度がより高くなる」と主張したことについて、オンライン資格確認義務化は診療行為そのものを規制しない、免除規定がある、財政支援が行われている点を挙げて、本件に妥当しないとした。
この背景には、医療機関が受ける制約に比べて、オンライン資格確認の導入で得られる利点の方を重視した判断があるが、これは「過誤請求ないし不正請求を防ぐことが相当程度期待し得る」「薬剤情報等を共有することで、提供される医療の質の向上も期待できる」などという国の説明を鵜呑みにしたもので、現場感覚からかけ離れたものであると言わざるを得ない。さらに、国の説明に対して、原告が示したトラブル事例や廃業を余儀なくされた事例について、「特定の団体内の意見」「全国保険医団体連合会の調査結果等にとどまり、回答率も必ずしも高くはない」などとまともに取り上げないという姿勢は、各協会・医会の全会員への侮辱であり、到底容認できるものではない。
兵庫協会は、今後、東京保険医協会とともに控訴審で展開される裁判闘争と同時に、マイナ保険証の欠点を指摘し続け、健康保険証の存続を求めるとともに、市民にマイナ保険証の紐づけ解除を促し、各保険者に資格確認書を全被保険者に発行するよう運動に全力を尽くす決意である。
以上