2025年1月05日(2090号) ピックアップニュース
報告 オンライン資格確認義務不存在確認訴訟 地裁が不当判決
医療機関・患者の被害訴え控訴審で引き続きたたかう
評議員 島津 俊二
長年にわたった、「オン資裁判」の一審判決は棄却となった。われわれ総勢1415人の原告団代表は即日、控訴に向かって活動を開始した。
本訴訟は簡単に言うと患者が提出した保険証に従って、われわれ医療機関には患者に対して医療を提供する義務のみ存在すると訴えたものでした。つまり、マイナ保険証のオンライン確認の設備の構築を強要するのは誤りであるとしました。
法的には法律と省令との間では法律が上位となり、その法律によって「個別・具体的な委任」がなされた場合は下位の省令はその委任の趣旨の範囲でルールを定めるとしているが、われわれは、オンライン資格確認義務化はそれを逸脱していると主張し、国は範囲内であるとした裁判でありました。
今次、地裁での口頭審理における数回にわたるやり取りは、保険証の12月2日からの新規発行中止前に判決を望んだ結果であり、国側の反論を論破することを選ばず、現状でも勝利を信じて臨んだ判決でした。
今回の判決結果に関して、即日控訴を決断しましたが、わが弁護団の喜田村洋一弁護士は「実際には私たちは詳細な反論を行っているが、判決理由では、なぜ反論が通らないのかについて説明がない」と言い、国側の主張をそのまま記載しただけの「お手軽判決」と批判され、控訴審でも論理と事実を積み重ねていくつもりだとも決意を述べられていました。
また東京協会の佐藤一樹先生は「私たちはデジタル化に反対していないし、医療現場が混乱することも望んでいない。マイナ保険証がなくても、マイナカードが任意である限り、『資格確認書』があれば、すべての国民が必要な医療サービスを滞りなく受けられると私たちは、PRに努める」とされた。
現行の各地で行われている保険証廃止の撤回運動に関して、佐藤先生は思うところがあったようでしたが、わたくしは、「健康保険証」を「資格確認書」に置き換える運動が、国民にも理解されやすく、医療機関にとっても実害の少ない運動のように感じます。一咋年、わたくしが川西市において請願を行った内容は「資格確認書を現行の保険証と同等のものにすること」でした。まさにこの佐藤先生が言われた運動と合致します。
両先生がたが言われたように、今次の判決は国に寄り添ったものとなりました。控訴審では無視された医療機関側の実害を強調しつつ、性急さと強引さが目立った、過度の医療DX化の被害を強調し、患者側の混乱を強調した証拠固めが必要かと思います。
今後の運動として、皆保険制度を堅持することとともに、皆保険の障害となっている現在の一連の政策の変更を求め、各医療団体と協議して、混乱のないよう国が責務を果たすように求めていきたいと考えます。