兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年3月25日(2097号) ピックアップニュース

会員意見実態調査【①医療・社会保障】
先発品保険外し「反対」6割

図1 後発品のある先発医薬品が10月から選定療養の対象となることについて

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図2 2024年12月の現行健康保険証の新規発行停止について

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図3 政府が進める患者窓口負担増について

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図4 医師数について(医科のみ)

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 協会が昨年10~11月に実施した2024年度会員意見実態調査結果で、昨年10月から政府が実施した後発品のある先発医薬品を選定療養の対象とすることについて、6割が反対していることなどが分かった。同調査は、1988年より2年に一度、会員の意見を広く把握し、協会活動に生かすために、診療報酬改定の影響、医療・社会保障から政治・経済など、情勢に応じた質問で調査を行っている。今号から結果をシリーズで紹介する。

 本調査は協会正会員の2割を無作為抽出し、調査票を郵送している。今回1191人が対象となり、370件(回答率31.1%)から回答があった。
 後発品のある先発医薬品を選定療養の対象とすることには、「反対」が61.1%、「分からない・その他」が22.7%となり、「賛成」は8.7%と1割未満だった。患者負担を増加させることに対する反発が強いことが読み取れる(図1)。
 この先発品の選定療養化は混合診療の対象拡大であるが、「混合診療の全面解禁について」聞いたところ、「分からない」が37.0%と最も多く、「賛成」29.5%、「反対」が25.4%となった。前回調査は「反対」33.9%、「分からない」32.0%、「賛成」28.6%であり、「分からない」「賛成」が増加し、「反対」が減少している。
 医科歯科別に見たところ、医科では「賛成」23.5%、「反対」28.7%と反対意見が多いが、歯科では「賛成」が42.0%、「反対」18.5%と賛成意見が多くなっている。歯科では、診療報酬が低く抑えられていることから、歯科用材料等について選定療養として保険外材料が使用可能であり実質的に混合診療が行われている状況であり、容認意見が強いと考えられる。
保険証の新規発行停止「反対」67%
 「(2024年)12月の現行健康保険証の新規発行停止について」は、「反対」が66.8%(図2)と圧倒的に多く、医療機関でトラブルが続くなかで、政府が保険証廃止を強行することへの反発が強い。
 政府が2025年度から本格運用を予定している「電子カルテの情報共有システムについて」は「反対」45.1%、「わからない・その他」29.5%、「賛成」17.0%と半数近くが反対という結果となった。
 「政府が進める患者窓口負担増について」は、「反対」が49.5%、「その他・分からない」21.6%、「賛成」21.1%となり、半数が患者負担増へ反対している(図3)。
 「政府が進める地域医療構想による病床削減について」は、「反対」53.2%、「賛成」4.6%、「分からない・その他」33.2%となった。「急性期病床について」では、「少ない」との回答が41.0%、「看護師数について」も、「少ない」が59.4%を占めている。コロナ禍のもとで急性期病床の不足を感じ、政府が進める病床削減を問題ととらえる会員が増加していると考えられる。
 医科会員に医師数について聞いたところ、「分からない」が29.5%と最も多かったものの、「少ない」28.7%、「ちょうど良い」27.5%と意見が分かれ、「多い」との回答は11.2%にとどまった(図4)。「少ない」は16年の15.4%から徐々に増加する一方、「多い」「ちょうど良い」との回答は減少傾向にある。コロナ禍に加え、「医師の働き方改革」などが進められる中、医師が少ないと考える会員が増加しているのではないかと考えられる。

社会保障財源 「大企業負担増で」半数

図1 消費税を今後どうするべきか

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図2 戦争の放棄、戦力不保持を定めた憲法9条について

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 「社会保障充実のための財源」をどう考えるか、複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「大企業の負担を増やす」で49.2%で、「国民の負担を増やす」は22.2%、「赤字国債でまかなう」は11.4%と少なく、空前の利益を上げているものの、内部留保金を増やし続ける大企業がより負担すべきと考える会員が多いことが分かる。
 消費税について、今後どうするべきか尋ねたところ、「8%に戻すべき」「5%に戻すべき」「廃止すべき」の合計は36.5%となり、物価高騰のなかで、消費税減税を望む声が増加している(図1)。
 「医療にかかる消費税について」は、「保険診療にゼロ税率を適用して還付すべき」が46.5%と、協会・保団連が方針と掲げる、ゼロ税率による控除対象外消費税の解消を求める声が多い。
政治に望むもの「社会保障の充実」6割
 「政治に望むもの」は「医療・社会保障の充実」64.1%、「景気対策」57.8%、「子育て支援・教育の充実」52.7%の順となった。
 石破内閣を「支持する」は20.3%、「支持しない」45.1%と不支持が支持を大きく上回った。「支持しない」理由では、「経済政策が悪い」が66.5%、「医療政策が悪い」が61.1%で、物価高が続き診療報酬改定がマイナスとなることへの反発が強いことがうかがわれる。一方、「支持する」理由では、「自民党を中心とした政権だから」が50.7%と最も多かった。
 支持政党は、「なし」が38.9%と最も多く、前回最も多かった「自民党」は31.1%と大きく減少した。その他、「立憲民主党」4.9%、「日本維新の会」3.5%と続く。
核兵器禁止条約「批准すべき」6割
 核兵器を全面的に禁止とする「核兵器禁止条約」について、日本政府は批准すべきか尋ねたところ、「批准すべき」が53.8%、「分からない」が21.9%で、「批准すべきでない」は14.3%にとどまった。唯一の戦争被爆国である日本の条約参加を望む声が大きい。
 「現行の日本国憲法改正について」は「賛成」40.0%、「分からない」32.4%、「反対」17.3%と賛成が多かった。「戦争の放棄、戦力不保持を定めた憲法9条について」は、「見直すべき」39.7%、「堅持すべき」29.5%、「わからない・その他」20.8%となり、前回調査で「見直すべき」が「堅持すべき」を逆転した傾向が続くが、「見直すべき」の比率は10ポイント以上減少した(図2)。
 また、政府が進める防衛費の増額について「賛成」が39.5%と「反対」の22.4%を大きく上回った。ロシアによるウクライナ侵攻や米中の対立などから、日本の防衛力の強化を望む会員が多いことが分かった。
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