2005年1月
【木曜】 夜間の頻尿
夜寝た後、おしっこに3回以上起きる事を「夜間頻尿」と言います。ひどいときは一晩に5~6回もトイレに行くことがあります。夜中にたびたび起きる事は、大変つらく、翌日の疲れの元にもなります。
「夜間頻尿」の原因として、まず高齢による動脈硬化の進行があります。若いときには寝る前に少々水分を摂っても朝まで排尿せずにすむのですが、60歳以降になると腎臓で尿を濃縮する力が弱くなり薄い尿が多量に出ます。また脳に動脈硬化がおこると脳からのホルモン低下により、ますます尿を濃縮する力が弱まることになります。このため、高齢者では一般に夜間の尿量が増し、尿の回数が増えます。また男性では、これに前立腺肥大症が加わり、尿が出にくくなるため、さらに尿の回数が増します。もう一つの原因は、膀胱の中に石や腫瘍がある場合で、膀胱の刺激症状によって頻尿がおこります。
従って「夜間頻尿」を、年のせいと決めつけてあきらめる前に、腎臓が悪いのか、前立腺が悪いのか、あるいは膀胱が悪いのかを検査する事が大変重要です。特に前立腺肥大症と前立腺癌との区別が大事です。前立腺癌は血液検査で検診ができる珍しい癌であり、アメリカではすでに一番多い癌になっています。その他に心臓の機能低下の場合も夜間頻尿がみられます。
さて、治療ですが、前立腺や膀胱に作用する薬を使ったり、それらを司る神経に作用する薬も使います。さらに石や腫瘍が原因となっていれば内視鏡を使って切除・摘出します。また前立腺肥大症に対しても、内視鏡での手術が可能です。
「夜間頻尿」でお悩みの方は早めに泌尿器科専門医を受診して下さい。