2005年2月
【金土日】五十肩について
五十肩は、腕をあげたり回したときに、肩の関節や二の腕の痛みがでる状態を言います。また、夜寝ている時に痛みが強いのも特徴です。中年以降、特に50歳代に多いので、一般に五十肩と言われています。
五十肩の原因は、肩の関節の特別なつくりにあります。肩にはいくつかのスジからなる腱板とよばれるものが、腕の骨をぶらさげています。その働きにより、肩を動かすことができるのです。年をとるにつれて腱板は少しずつすりへ減ってきますが、それだけでは痛みはでません。強く手をついたり、肩をひねったり、重いものを持ったり力がかかると、肩の関節のまわりが腫れ、炎症を起します。炎症が起きると肩のまわりが痛くなり、腕をあげることができなくなります。
肩を安静にして炎症が治まれば、痛みはなくなり腕もあがるようになるはずですが、実際はそうはいきません。実は、五十肩の問題はここにあります。痛くて肩を動かさないことが続くと、関節がかたくなってしまい、逆に腕があがらない状態を作ってしまいます。
さらには、関節がかたいことがまた痛みの原因になるという、悪循環ができてしまいます。治療は、こうした悪循環を断ち切ることになります。はじめの非常に痛い時期は安静第一ですが、少し痛みが軽くなってくれば、タンスの縁などに手をのせ、膝を曲げしゃがみ込むなど肩を動かす練習を始めましょう。動かす練習をすることが、痛みをなくすことにつながります。
痛いことをしなければ、痛みがとれない。この一見矛盾した考え方が、治療の基本になるのです。練習をするためには痛みを抑えなければならないので、薬を飲んだりシップを貼ったりします。また、温めることは痛みを軽くするので、お風呂上りの練習はおすすめです。肩を動かす練習は、痛みを抑えながら上手に行う必要があります。五十肩を治すには通常1~2年かかりますが、治療と運動で改善してきます。根気よく続けましょう。
ただし、腱板が切れてしまっている場合は簡単には治りません。肩の痛みが続く場合は、できるだけ早く整形外科を受診することをおすすめします。