兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2005年5月

【金土日】PTSD(外傷後ストレス障害)

 最近では、いろいろな事件や事故があると、「心のケア」が大切だと話題になります。
日本では、阪神淡路大震災がきっかけで注目されるようになりました。被災者の方々に対しては物質的支援だけではなく、精神面のケアも重要であることが、社会的に広く認識されました。
 人間は、大きな災害や事件など非常にショックの大きい出来事に遭遇すると、心に傷を受けます。これを「外傷」とか「トラウマ」と呼びます。この「トラウマ」が原因となって精神的な病気になることを、「外傷後ストレス障害」、略してPTSDといいます。
 PTSDの症状には、3つあります。
 1つは、「フラッシュバック」という症状です。「フラッシュバック」とは、悪夢をみるとか、あるいは、場所や状況が似ているなどの些細な刺激で、きっかけとなった出来事の記憶が鮮明によみがえり、まるで再び体験しているような恐怖にとらわれる現象のことです。
 2つめは、「回避行動」です。「回避行動」とは、きっかけとなった出来事と関連するような場所や話や状況などの刺激を避けることです。あるいは感覚が麻痺してしまう症状もあります。
 3つめは、些細なことで怒りが爆発するとか、過度に警戒心や恐怖心を抱くとか、あるいは、眠れなくなるなどの症状で過度な覚醒状態「過覚醒」といいます。
 これらの症状が一ヶ月以上続いた時に、PTSDと診断され、専門家の治療が必要となります。
 治療は、抗不安薬や抗うつ薬などを中心にした薬物治療が基本ですが、同時に精神療法が必要です。その他、運動療法などが有効な場合もあります。
 PTSDなど精神的な病気は、周りから理解されにくいところがあります。ご本人を励ますつもりで、「過去の事だから忘れてしまいなさい」「いつまでもくよくよせず前向きに」などと言ってしまうかもしれません。PTSDかどうかは専門家の診断を受け、そうであれば、まず治療を優先しましょう。そして、きっかけとなった出来事については、ご本人が積極的に話す場合はしっかり聴いて受け止めてあげることが大切ですが、むやみに聴きすぎるとかえって悪化させる場合がありますので、注意しましょう。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。