2005年5月
【木曜】 痔を切るとき、切らないとき
痔とは、一般にイボ痔・切れ痔・穴痔のことを言います。初期の段階では、生活習慣の改善や薬などで良くなります。しかし、病状が進みますと手術が必要となります。
まず、イボ痔ですが、初期の頃はトイレの際、紙にまっ赤な血が付いたり、ポタポタと血が落ちたりします。放置していると、いつも便が残っているように感じるようになり、やがて「イボ」が肛門から出てきます。この時期では、指で出てきた「イボ」を押し戻すと戻ります。さらに、放っておくと「イボ」が出っぱなしとなり肛門の中に入らなくなります。こうなると、いつも下着が汚れ気持ち悪くて日常生活に支障がでてきます。イボ痔は、症状が出血のみであれば、患部を硬めてしまう薬を注射するだけで良くなります。しかし、「イボ」を指で押し戻すようになれば、手術が必要です。すなわち、切らないと治りません。
次に、切れ痔ですが、症状は排便時の痛みと出血です。硬い便が原因である事が多く、便秘を改善すれば、ほとんど治ります。しかし、慢性化すると肛門ポリープやイボができてなかなか治りません。座薬で治らない、あるいはポリープが脱出するようになると手術した方がよいと思われます。
最後に、穴痔ですが、これは痔瘻(じろう)といわれ、薬では治りません。肛門の周りに穴があき、膿がじくじくと出でてきます。肛門の奥が重苦しく痛い、38度を越える高熱がでる、下着が汚れるなどの症状を訴えます。穴痔という診断を受ければ、早めに手術を受けて下さい。放置すると、肛門が狭くなったり、硬くなったりします。
いずれにせよ、自己判断は禁物です。「痔かな?」と思い込んでいると「実は大腸癌だった」ということも少なくありません。かかりつけの医師に早めに相談し、場合によっては専門医を紹介してもらうなど適切な治療を受けて下さい。