2005年6月
【水曜】 犬や猫にかまれたら
犬や猫にかまれた場合、「大したことはない」といって油断してはいけません。これらの動物の歯には、ばい菌や寄生虫の幼虫がいっぱいついていて、しっかり処置しておかないと、破傷風(はしょうふう)や寄生虫病などにかかることがあるからです。
破傷風は破傷風菌といわれるバイ菌がかまれた傷口から侵入し、毒素をつくり出します。この毒素が運動中枢を侵して、全身の筋肉の硬直やけいれんをひき起こします。寄生虫病では、犬および猫回虫症が多く見られ、発熱や肝臓の腫れ、時には脳炎に似た症状を引きおし、失明に至ることもあります。
かまれたら、早く傷口や傷口の皮膚をはがして水やシャワーで充分洗い流し、きれいなガーゼで傷口を覆いましょう。それからすぐに医師の治療を受けるようにしましょう。
また、犬にかまれた時に注意しなければいけないのが、狂犬病です。これは犬の唾液の中にいる狂犬病ウイルスがかまれた時に人間に感染して起こる病気です。かまれてから10日ほどで、かまれた傷あとから体の中心に向かって放散する痛み、食欲不振、唾液が多くなるなどの症状がでてきます。その後、興奮しやすくなり、のどから胸にかけてけいれんを起こし、発病後3~5日で呼吸困難を起こし死亡することもあります。
幸いなことに日本ではこの40年くらい狂犬病は起こっていませんが、効果的な治療法がないため、犬を飼っている人は、必ず狂犬病の予防接種をしておきましょう。
また、猫にかまれたり、ひかっかれたした後に、リンパ節が腫れる猫ひっかき病という病気があります。これは、傷を受けたところに発疹や小さい水疱ができ、化膿したりしますが、自然に治ります。ただし、傷を受けてから2~3週間後に発熱、頭痛がみられ、全身がだるくなり、腫れたリンパ節が化膿して破裂することもあります。治療は、発熱している時は安静が一番ですが、抗生物質が有効で、初期の段階であれば化膿も防止することができます。
このように、犬や猫にかまれた時は、放置せずかかりつけの医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。