2005年8月
【木曜】 治りにくい下痢
下痢がつづくと不快なものです。何度もトイレに駆け込んだり、何度も紙で拭くのでお尻がヒリヒリしたりと大変です。薬局に駆け込み、市販薬を求めても有効に治癒しない事が少なくありません。
一般に、下痢とは液状の便が頻繁に排泄される状態を言いますが、個人差があり、その程度や回数は人それぞれ異なります。何度もトイレに行くのが苦痛であったり、発熱、出血、腹痛を伴ったりする場合は治療する必要があります。細菌性の下痢で急性ですぐ治るものはあまり問題にはなりません。しかし、他の下痢、中でもなかなか「治りにくい下痢」は、下剤の濫用や化膿止め、アルコールの飲みすぎや食べ物が原因である事が少なくありません。また、糖尿病、尿毒症、腸の吸収不全など全身性の疾患が潜んでいたりします。医師の適切な診断が必要で、素人判断は禁物です。
「治りにくい下痢」で最近多いのが、ストレスが原因といわれる過敏性腸症候群です。男性より女性に多く、10代後半から20代に多くみられ、頭痛、動悸、息切れ、全身の倦怠感などを伴います。場合によっては、心療内科を受診することも必要です。頻度は少ないものの潰瘍性大腸炎、クローン病といわれる慢性で難治性の下痢があります。重症化すると外科手術の対象となる事があり、無視できません。さらに、海外渡航が増え、アメーバ赤痢による下痢もみられるようになりました。
また、単なる下痢と思い込んでいたら、大腸癌だったという事もあります。大腸癌の場合、便に血が混じる事が多いので痔と思い込まず、検査を受けて癌でない事を確認して下さい。「治りにくい下痢」で注意しなければならないのは、市販薬でなかなか治らない下痢です。放置するとその中には悪性の疾患もあり、重症化する危険があります。必ずかかりつけの医師に相談し治療を受けるようにして下さい。