2005年10月
【金土日】頭のかゆみとふけ
皮膚の表面、つまり人間の体の一番外側はケラチンというタンパク質でできた、角質層という非常に丈夫な膜で覆われており、この膜の表面は外界のいろいろなものと接触するので、擦り減ったり剥がれ落ちたりします。皮膚は常に新しくつくられており、角質層も補充されていきます。新しい層ができると、その上の古い層が剥がれ落ちていき、それによって角質層の厚さは一定に保たれています。頭から剥がれ落ちた角質層は「ふけ」、その他の部分からのものは「あか」と呼ばれています。それゆえに、ふけが出ることは必ずしも異常なことではなく、健康な人でも見られます。したがって問題となるのは、ふけが著しく多かったり、急に増えたりしてかゆみを伴ってくる場合です。
また誰でも洗髪を怠ると、ふけが増えたりかゆくなったりしますが、それらの症状はあまり強くなく、頭を洗えば治り、異常とはいえません。ふけが異常に増えたり、かゆみが出たりすることは、頭の皮膚にかぶれなどの湿疹あるいは癜風菌(でんぷうきん)というカビが増えたりして、そこに炎症が起きていることを意味します。
頭はまた、顔や脇の下、外陰部などと同様に皮膚から脂肪が出る活動が活発なため、脂漏部位と呼ばれており、その皮膚の脂肪の刺激による湿疹ができやすい場所です。脂漏部位には特に癜風菌が増えやすく、副腎皮質ホルモン剤の塗り薬がよく効く反面、非常に再発しやすく、カビの治療やビタミン剤の内服が必要なこともあります。洗髪も少なくとも2日に1回は必要で、癜風菌の量を減らすシャンプーも店頭販売されています。
さらに、白癬菌という水虫の原因菌など、癜風菌以外のカビが頭に感染することもあり、特に注意が必要なのは高校生や大学生の、柔道やレスリング部員に特殊なカビが感染した場合で、内服薬しか治りません。いずれにしても診断が難しいので、できるだけ早く専門医に診断を受けて下さい。