兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2005年10月

【木曜】 高齢者の排尿困難

 今回は男性高齢者の排尿困難の原因として最もよく知られている、前立腺肥大症についておはなしします。高齢者の排尿障害として、『夜間にトイレが近くなる』、『尿の勢いが弱い』、『オシッコに時間がかかる』、『オシッコが全く出ない』、『オシッコが漏れる』など様々な症状が現れます。
 前立腺は精液の一部を作る男性特有の臓器で、膀胱の出口にある尿道をとりまく『くるみ大』の組織です。前立腺は年齢と共に徐々に大きくなって、次第に尿道を圧迫し排尿障害が起ってきます。これを前立腺肥大症といいます。症状として初期には、『トイレが近くなる』、次いで『オシッコに時間がかかる』、さらに『オシッコをするのが非常につらい』、最後には『自力ではオシッコがでない』というように症状が進行していきます。
 前立腺肥大症の治療法として、初期のうちには薬で前立腺を小さくしたり、排尿力を強くしたりすることで、手術をせずに薬のみで治療が可能です。しかし、症状が進行した段階では薬での効果が乏しくなるので、前立腺を切除します。最近ではレーザーによる手術や、尿道や直腸にカテーテルを挿入し、前立腺にマイクロ波をあてて温める温熱療法などもあり、全身状態の悪い方にも比較的安全に治療することが可能となってきています。
 このような排尿障害の症状が起ったら、早めに泌尿器科医での検査と治療をおすすめします。また前立腺肥大症とよく似た症状をもつ、前立腺癌も最近急速に増加してきています。前立腺癌の検査は、PSAという簡単な血液検査でできますので、50才以上の方は特に自覚症状がなくても、定期的に前立腺の健診を受けることをおすすめします。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。