2005年11月
【金土日】インフルエンザ予防接種は有効か
インフルエンザワクチン予防接種の効果は、アメリカの老人ホームの結果では発病予防効果は30%~40%と低率ですが、肺炎と入院を予防する効果は50%~60%であり、死亡を予防する効果は80%もあることが証明されました。
最近の報告では、一般社会に住む高齢者での入院や死亡の予防効果は70%~90%と高い状態となっており、予防接種は医療費のコスト削減効果もあるとのことです。
さらに、血液検査からみると、A香港型インフルエンザに対する感染の予防効果は80%であり、B型の効果は43%であると日本で発表されました。また、新しいウイルスに伴うインフルエンザ大流行の後でも、A香港型の感染予防の有効率は67.5%と比較的高率でした。これは、抗原の変化にも関わらず、抗体が感染予防に有効なレベルになったためと考えられており、予防接種は無駄ではありませんでした。
一般に、予防接種の回数は小児以外では、1回の接種で十分なインフルエンザの予防効果があります。しかし高齢者や重い病気を持っている人は、インフルエンザ感染が重症になる可能性が高いので、毎年積極的に予防接種を受けて流行に備えるべきでしょう。また接種の際は、体調を整えて受けるようにしましょう。
次に小児については、インフルエンザにかかる率は大人に比べるとかなり高く、予防接種は2回必要です。最近問題になっているインフルエンザ脳炎、脳症に対しては、以前の予防接種により発症の頻度が少なく、症状の軽減がみられるとの報告があります。現在、他に対応手段がない時点では、インフルエンザに対する免疫力が低いこともあり、乳幼児、とくに集団生活をする子どもたちへの予防接種に、医師も親も目を向けるべきでしょう。
予防接種の後に、発熱、頭痛、倦怠感と局所の赤み、腫れ、痛みが10%~20%にみられます。通常2~3日中に消失します。また、鶏や卵にアレルギーのある人は要注意です。予防接種の有効性をよく理解して、予防接種を受けるようにしましょう。