2005年11月
【月曜】 歳をとるとなぜ聞こえが悪くなるの?
歳をとるとなぜ聞こえが悪くなるのでしょう。「老化現象で聞こえが悪くなるのは当然」とお考えかもしれませんが、その答えは赤ちゃんの時までさかのぼらなければなりません。
人間は「オギャー」と生まれた瞬間から歳をとっていくものですが、耳の神経細胞はすでにこの時から壊れ始めます。それが、あるレベルに達すると聞こえの悪さとして自覚されることとなるのです。
一般に20歳台の後半より耳の神経細胞には構造上の変化が目立つようになります。そして45歳頃には多少の聞こえの悪さを自覚するようになり、65歳頃より日常生活に支障を来たすようになると言われています。つまり、老化による老人性難聴は、歳をとるという、いたって自然な人間の生理に基づくものなのです。ですから、本来これは病気と呼ぼれるものではありません。しかし、難聴によってコミュニケーションに障害を来たし、社会生活でも支障を及ぼすに至っては、何らかの対応が必要となります。
ひとたび失われた神経の働きを取り戻すことは不可能ですから、残った聞こえの能力を活かす工夫が必要です。それには、補聴器の使用をお勧めします。最近の補聴器は機能的に進んでいますので、しっかりした調整をすることで、かなりの満足感を得ることができます。
しかし、聞こえを悪くする原因には、単に耳あかが詰まっているなど特に問題のないケースもありますが、中耳炎や外耳道炎など他の病気が隠れていることもあります。したがって耳鼻咽喉科専門医を受診し、聴力検査を含め耳の状態を診てもらいましょう。また、場合によっては、補聴器専門店を紹介してもらいましょう。「老化によるものだから治らない」と治療を諦めてしまう方がおられますが、補聴器を使って残りの聴力を活用する意欲を持てば、再びコミュニケーション能力を回復することも可能です。