2005年12月
【木曜】 血便があったら、あなたはどうしますか?
排便の時、「便器が赤い血で染まる」「便の表面に血液が着いている」など、この様な状態の便を血便と言います。血便は普通、大腸下部の病変や痔核からの出血が原因であることが多く、新鮮な血液そのままの色をしています。真っ赤な新鮮な血として見られる出血は、肛門に近い所に病変がある時に認められます。その原因として一番多いのが痔です。痔は排便の時だけ出血し、すぐに止まります。これは、肛門括約筋が閉じれば止血してしまうからです。軽い痔であれば、坐薬や便通の管理などで治癒します。排便時に肛門が飛び出してくる場合は、ゴム輪でくくったり、特殊な液を痔核へ注射したりします。ただし排便のたびに飛び出てくる痔は外科的に手術したほうが早く治ります。
その他の疾患としては、潰瘍性大腸炎、大腸憩室、虚血性大腸炎などがあります。ただし血液と粘液が混じった、いわゆる粘血便を見るときは要注意です。大腸癌、直腸癌の可能性が極めて高いからです。いずれにせよ排便時に出血があれば、早めに専門医の診察を受ける事をおすすめします。
市販の坐薬を1年以上使用しても血便が止まらず、一大決心をしてやっと診察を受けたところ、かなり進行した直腸癌が見つかり、すでに肝臓に転移していたと言う例もめずらしくありません。おかしいと感じたら、まず悪性疾患を否定するために専門医を受診し、適切な検査をしてもらいましょう。癌は早期発見が大切です。近年、大腸カメラによる治療も進み、早期のポリープ癌は内視鏡で切除できるようになりました。早く見つけることが大切です。
最後に、先ほども申し上げましたが、痔の奥に直腸癌が潜んでいる事があります。癌からの出血と、痔からの出血がかさなっている時もあります。皆さん、自己判断は危ないですよ。