兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2005年12月

【水曜】 脂肪肝について

 今の日本では肥満で体型が崩れることを問題にする人が多いのですが、このような皮下脂肪の増加に比べ、目には見えない内臓脂肪で健康を損なっているということには、まだ関心が薄いようです。今日は内臓脂肪で最も代表的な脂肪肝のお話をします。
 私たちの食べものの主なものは炭水化物、たんぱく質、脂肪です。これらは日々の生活に必要なエネルギー源として使われ、余分なものは代謝され、すべて中性脂肪になり体内に蓄積されます。これが多すぎると皮下脂肪が増加したり、肝臓の細胞の中に溜められたりします。
 肝臓での溜まり方がひどければ、色が黄色味を増す脂肪肝という状態になります。脂肪肝の程度がひどくなればフォアグラのようになり、エコー検査ではその脂肪成分が超音波でキラキラと輝き、すぐに脂肪肝と診断されます。程度の軽いものも含めると、普通に生活していると思っている人の10%以上に脂肪肝を認めます。
 お酒をよく飲む人で食べ過ぎ傾向があれば、早々と脂肪肝ができあがります。これは肝臓がアルコールの代謝処理を優先的に行い、脂肪を処理することが後回しになってしまうからで、アルコール性脂肪肝として区別しています。
 このように食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎで脂肪肝になりますが、稀には甲状腺や副腎などの内分泌臓器の病気や、妊娠に合併して起こることもあります。また、無理なダイエットをしたために、たんぱく質が不足して脂肪肝になることもあります。
 脂肪肝になっていても、あまり症状は無く、たまたま受けた血液検査やエコー検査で判ったりします。心臓や血管の病気、糖尿病も合併しやすいので、生活習慣を改めることで改善するよう注意してください。
 脂肪肝は、アルコール性でなければ、通常肝硬変にまでは進みにくいようです。脂肪肝と診断された方の約1割は非アルコール性脂肪性肝炎です。これは次第に肝硬変、やがては肝癌を発生する病気もありますので、専門医を受診することが必要です。
 なお、非アルコール性脂肪性肝炎については、今後放送を予定しております。

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