2006年1月
【木曜】 尿もれ(尿失禁)
尿もれは自分の意志にかかわらず、尿が漏れて下着を濡らす状態のことで尿失禁といいます。これまで、尿失禁は生命にかかわることがあまりなかったので放置されがちでしたが、最近では快適な人生を送る上でも積極的に治療が行われるようになりました。
特に女性は尿道が短いので、少なくとも3人に1人が尿失禁に悩んでいるといわれています。特に立ち仕事に従事している出産経験のある女性におこりやすく、中年以降増加する傾向にあります。
尿失禁には咳をしたり、笑ったりして下腹部に力が入ると尿が漏れる場合、尿意を催して排尿するまでに間に合わない場合、尿道が前立腺肥大症などのために狭くて排尿しにくく膀胱に貯まり過ぎた尿が溢れて漏れる場合があります。この他にも脳や脊髄の血管、神経に障害があって膀胱の働きが悪くなり尿が漏れる場合や老人性認知症によって起こる場合などもあります。また急性膀胱炎や薬の副作用によって一時的に尿失禁を起こすこともあります。
治療は尿失禁の原因に応じて行われます。膀胱に尿をためる量を増やす薬を使ったり、必要に応じて尿道を狭くして尿失禁を起こしにくくする手術を行うこともあります。日常的には、尿道を締める筋肉を強くするため骨盤内の筋肉を訓練したりします。この訓練は仰向きに寝て、膝を立てて開脚し、膣や肛門を締めたり、ゆるめたりします。これを毎日4~5回最低3ヶ月間繰り返し行います。また、ある一定の時間ごとに自分でカテーテルという管を尿道に挿入して、出にくくなった尿を体外に排出する自己導尿法などいろんな治療法があり、それぞれかなり良い成績をあげているようです。
従って尿失禁を決して恥ずかしがったり、諦めたりしないでお近くの泌尿器科専門医にご相談されることをおすすめします。