2006年2月
【火曜】 寝たきりのお年寄りの口の中の手入れ
お年寄りの口の中をよく調べてみると、日ごろ健康な方でも、虫歯や歯周病が全くないという方は少ないものです。また、入れ歯を入れておられる方も多いと思います。でも、日常生活で不便がなければ、歯が悪いことすら忘れている場合があります。
ところが、手や足が不自由になると、歯ブラシで歯を磨くこともおっくうになりますし、まったく自分で歯磨きができなくなってしまうことも少なくありません。そうなると口の中が不潔になりますので、日ごろ治療しないでいた虫歯が痛んだり、治まっていた歯周病が再発したりして、歯茎が腫れたりすることもよくあります。
また、体重が大きく変化すると、入れ歯が合わなくなり、スムーズに噛めなくなりますので、はずしたままになってしまいがちです。しかも、残っている歯に負担が強くかかりますので、さらに悪くなります。
寝たきりのお年寄りが歯の痛みを訴える場合、口の中を覗いてみてください。痛む歯に大きな穴があいていて、食べカスが詰まっているようであれば、それを取り除き、市販されている薬で、痛みがとれる場合があります。また、綿棒やガーゼで舌の汚れを拭いたり、スポンジの清掃用ブラシもありますので利用してみましょう。
歯茎が腫れているようであれば、よくうがいをしたり、歯磨きをしてから、冷たいタオルで外から冷やしてみて下さい。少しは楽になります。
ところで、食べることはお年寄りの少ない楽しみの一つでもあります。よく噛んで食べることで、顎の筋肉が運動し、頭の働きもよくなり、老人性認知症の予防にもなると言われています。
歯に痛みを訴える場合や、入れ歯が合わなくて食事がしにくくなったときには、主治医やかかりつけの歯科医師に相談しましょう。最近では、往診してくれる歯科医師もいます。決してあきらめないで下さい。