2006年3月
【金土日】高齢者のうつ病
高齢の方がある時から、口数が少なくなり、歩きが遅くなり、感情の起伏が乏しくなり、周囲への関心や活動への参加などの乏しさが目立ってくることがあります。これらに加えて、明らかに不愉快な気分を示している時は、うつ病に罹患していることを考えるべきです。
悲しみやうっとうしさの感情を示し、何に対しても楽しまない様子が2週間以上も続くようでしたら多くはうつ病です。うつ病は高齢になると罹りやすくなります。一度治っても再発し、自殺をする可能性も高くなります。これらの症状があれば、たまに笑顔を見せたからと言って放置せず、出来るだけ早く精神科・心療内科などの専門医を受診しましょう。ご本人が自らすすんで受診することはまれです。身の置き場のない苦しさなどに、ご家族が具体的に共感し、些細な言葉のやりとりにも傷つきやすくなっている高齢者の心に同情することが大切です。「『眠れない』『食べられない』からお医者さんへ行きましょう」などと声かけをして上手に受診を誘導してください。
これらのうつ病の症状は多くの場合、アルツハイマー病など老年期の認知症の進行過程でみられるものです。ただし、不快な気分を表していない方は、うつ病ではないでしょう。しかし、うつ病と認知症が同時に発症していることもあります。また認知症の最初の症状としてうつ病がみられることもあります。ほかに、脳梗塞、脳出血や意識を失う様な頭部の怪我の後なども、うつ病になることがあります。これらもまた認知症につながる可能性もあるので、専門医の経過観察が必要かもしれません。
うつ病は抗うつ薬というお薬で治療すると、比較的治りやすい病気です。諦めず、精神科・心療内科などの専門医を受診し、穏やかで、楽しい日常生活を早く取り戻しましょう。