2006年4月
【金土日】脱毛と育毛剤
人の髪の毛はふつう10万本から20万本といわれています。春先や、秋口になると脱毛が気になることがありますが、この場合実際に抜けている数は100本以内のことが多く、同じ位の数が新しく生えてくるので、髪の毛の数は殆ど変わっていません。問題は目に見えて髪の毛が減ってきて、地肌が透けてみえる場合です。治療上問題となる脱毛症の大部分は、円形脱毛症と男性型脱毛症です。
円形脱毛症は自分の毛を他人のものとして拒絶してしまう、いわゆる自己免疫疾患の一つと言われており、精神的なストレスが大きな引き金になります。最も多いケースは10円禿げと言われるように、頭皮の一部がコインの大きさに脱毛する場合ですが、頭皮の全てが脱毛したり、眉毛やまつ毛あるいは陰毛まで脱毛することもあります。治療としては、毛細血管の流れをよくして発毛を促す薬を使ったり、ステロイド剤を用いたりします。それでも改善しない場合には、脱毛部をドライアイスで冷やしたり、注射をしたり、場合によってはソフトレーザーや近赤外線などの治療をしますが、いずれにしても3ヶ月以上はかかりますので、根気よく治療することが必要です。
次に、男性型脱毛症ですが、いわゆる若禿げと言われるもので、おでこの生え際と頭のてっぺんの脱毛が特徴です。これはこの部が脱毛に関連する男性ホルモンによって支配されているからです。また遺伝が関係しており、20歳代で脱毛してくる人も多くみられます。この脱毛症の治療は、以前は良い治療方法がなく、外国などから取り寄せた外用薬を使っていた人もいましたが、今ではもっと効果のある外用薬などが市販されており、ごく最近では一日1回の内服薬が市販され、その効果も認められています。ただこの薬は保険が効きませんが医師の処方箋が必要です。
また最近では女性でも悩んでいる人も多く、男性型とは脱毛してくる部位が違っているのですが、この脱毛症に関しても最近では効果のある外用薬が、市販されています。この他甲状腺の異常や膠原病(こうげんびょう)、感染症、薬剤の副作用などによって脱毛症が起きることもありますので、必ず専門医の診察を受けるようにして下さい。