2006年6月
【火曜】 糖尿病と歯科治療
糖尿病の患者さんはいろいろな合併症にも悩まされます。合併症といえば、脳梗塞・心筋梗塞・高血圧・白内障や網膜症などが良く知られています。歯の病気の「歯周病」も糖尿病の合併症の一つにあげられることがあります。
歯周病とは、昔は歯槽膿漏といっていましたが、歯茎が弱って、歯がグラグラと抜けてくるおそろしい病気です。歯を失う原因の50パーセントがこの歯周病です。自覚症状があまりないのが特徴で、気がついたときには手遅れになってしまうこともよくありますので、十分な注意が必要です。
さて、糖尿病と歯周病をお持ちの患者さんでは、歯周病の治療をしても治療効果が思ったほどあがらないことがあります。糖尿病をよく管理した状態で、歯科治療を受けられたほうが歯周病の治療効果が期待できますので、内科で血糖のコントロールを受けた状態で歯周病の治療を受けてください。
また、歯科医院で糖尿病が見つかることもあります。歯周病治療の効果があがらない患者さんの場合とか、歯を抜いた後のキズの治り具合が遅かったりしたときに、歯科医師がその患者さんの糖尿病を疑い、尿検査を行うこともあります。その上で、内科受診を勧め、糖尿病が発見されることもあるのです。
今までのお話は、糖尿病が歯周病を悪くしているというお話でしたが、逆に、歯周病が糖尿病を重症化させている可能性が最近指摘されています。歯周病を治療することで糖尿病が軽くなったケースが報告されています。つまり、歯科治療を受けることで糖尿病もよくなった患者さんがおられます。
糖尿病患者さんで歯科治療を受けていらっしゃらない方はぜひ一度近くの歯科医院でご相談ください。