2006年7月
【月曜】 更年期のイライラとおちこみ
日本人女性の平均寿命は延び、85歳から86歳ともいわれています。それに比べて閉経は52歳前後でほとんど変わらず、長寿の分、閉経後の女性ホルモンの低い状態で過ごす期間が増えるわけです。完全に閉経する迄のホルモンの不安定なときを更年期といい、英語では「the turn of life」と表現し、まさしく人生の折り返し点にあたります。
婦人科的には、排卵が不規則となりアンバランスな女性ホルモン分泌がおこり、子宮癌や筋腫、内膜症などの病気を誘発し、自律神経失調もおきてきます。
のぼせ、発汗、血圧の上昇、めまい、動悸、物覚えの悪さ、物忘れなど自分の力では何ともしがたい様々な事がおこり、強い不安感が襲ってきます。生活面でも子育て終了、親離れ、夫の退職、失業、親の介護や死別など環境が大きく変わってきます。思うようにならない事ばかりで、イライラして、自信がなくなり、落ち込み、何もする気にならなくなります。これが引き金となりうつになったりする事もよくあります。
しかし、以前のように出来なくなっても当たり前なのです。今の自分を認め、自分を責めることはやめましょう。そして、更年期以降を楽しいものにするためには、まず寝たきりにならないよう今努力しましょう。それには、脳と筋肉と骨を楽しく鍛えましょう。そして、悩みは信頼できる人に相談にのってもらい、それでもつらいと感じたら、神経科、心療内科、婦人科を受診してください。必ず治ります。一秒でも一分でも楽しく過ごせる時を持ちましょう。
主な治療法は、ホルモン補充療法でHRTと呼ばれています。排卵前の女性ホルモンである卵胞ホルモンには、膣剤、貼布剤、経口剤、注射剤などがあります。必要により排卵後の女性ホルモンである黄体ホルモンを併用する時もありますが、この場合生理のような出血をみる事があります。症状に応じて漢方薬、自律神経調整剤、精神安定剤、ビタミン剤、カルシウム剤など投与を行います。食事療法や運動療法も大切です。