2006年11月
【金土日】アルコール依存症
お酒はわが国の食文化に深く根ざし、人々の交流の潤滑油としての役割を担っています。反面、アルコールは人体に有害な物質であることも否めません。
アルコールは体内で酵素の働きにより分解されます。この酵素の働きには人によって強弱があり、体質的にお酒に強い人と弱い人に分かれるようです。仮に毎日5合のお酒を50年間飲んだとしたら、極めて働きのよい酵素を持つ人でも、脳細胞に重大な損傷を被るといわれています。しかし、日本人の7割はこの酵素の働きが強くないため、もっと少ない飲酒量と短い飲酒期間で脳細胞が傷つくおそれがあります。
ところで、お酒を飲むことで心の緊張は和らぎます。人は心地よいと感ずることを習慣化します。飲まないと心が落ち着かず、毎日飲酒することをアルコールによる精神依存といいます。飲酒が習慣化すると、お酒を飲めない日には眠りが浅くなったり、汗をかいたりすることがあります。これを身体依存といい、進行すると手がふるえる、幻覚が出現するなどの「離脱症状」、いわゆる禁断症状をみることもあります。
また、習慣性の飲酒は職場においては、倦怠感、集中力や感情のコントロールの低下などから、仕事のミスや能率の低下を引き起こし、人間関係において信頼を失うことにもなります。家庭においても金銭問題、暴言・暴力などから離婚問題に発展することもあります。
しかし、「私には飲酒問題はない」「今度はうまく飲める」「酒をやめてもいいことはない」「どうせ酒なんか止められない」等の間違った考えやこだわりが受診を遅らせ、心身の健康状態を悪化させます。周りの人がお酒を控えた方が良いと伝えても、お酒の量や飲む時間をコントロールできないなら、更に悪い結果を招く前に、専門医療機関を受診することをお勧めします。