2006年12月
【木曜】 喉頭癌について
喉頭は首のほぼ真ん中にあります。いわゆるのど仏の中の部分です。鼻腔または口腔から入った空気はこの喉頭を経由して気管・気管支・肺へと広がってゆきます。喉頭の働きは、1つは声を出すことです。2つめは空気が通る道としての役割、3つめは空気が肺に行き着くまでの保護です。
日本の喉頭癌の罹患率は人口10万人あたり約3人で、ヒトに発生する癌のうちでも頻度の低い癌です。特徴は、喉頭癌患者の96.5%は喫煙者で、非喫煙者は3.5%に過ぎません。「喫煙さえしなければよい」という最も予防しやすい癌であるといえます。仮にこの世からタバコがなくなれば理論的には、喉頭癌は約30分の1に激減することになります。喉頭癌は10:1で圧倒的に男性に多い癌です。しかし、非喫煙者では1:1と性差がなくなることから、喫煙習慣を主とした男性的生活習慣の影響が強いと考えられています。
喉頭癌の代表的な症状は、声がれとのどのイガイガ感です。癌が進行すると、血痰やのどの痛みが出現するようになり、さらに進行するとゼイゼイ、ヒュウヒュウという症状や呼吸困難も伴うようになってきます。
喉頭は喉頭鏡検査や喉頭ファイバースコープ検査によってみることができます。異常が認められる場合は、その部分から小さな肉片を採取し、病理組織検査により診断を確定します。
喉頭癌の治療には、主に放射線治療と手術療法があり、レーザー治療を取り入れている施設もあります。風邪でもないのにかすれた声が持続する場合は、一度耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。