兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2006年12月

【水曜】 みつくち

 みつくちは、兎の口のように上唇が割れていることから「兎唇(としん)」と呼ばれた時期もありましたが、正式にはくちびるが裂けると表現される口唇裂(こうしんれつ)、または唇裂と呼ばれています。からだの中で最も目立つところの奇形であるため、社会生活上大きな問題となっています。他の多くの奇形と同じように、その発生の原因は、未だはっきりとしていません。時として遺伝の傾向が認められますが、遺伝以外では、たとえば母親が妊娠中に口にする薬や、食品や検査のためのX線による被爆の影響など妊娠中の環境によるものも考えられています。
 くちびるは妊娠4週から8週頃、つまり妊娠と気付く前に形成されるので、この期間は十分な注意が必要です。みつくちは約500の出生に対し1の割合で発生します。胎児の顔が作られるとき、くちびるの「あわせめ」がうまくつかなかった時にみつくちとなります。
 みつくちには、その程度によって鼻の奥まで裂ける「完全唇裂」や、くちびるだけが裂ける「不全唇裂」、更には左右同時に裂けるもの、右だけのもの左だけのものなど、色々な種類のものが現れてきます。
 乳児のみつくちでは、おっぱいが飲みにくいという事もありますが、心理的・美容的な障害が主な問題となります。治療は手術による形成が必要になりますが、手術は緊急を要するものではありません。乳児の体、特に鼻や唇がある程度大きくなり、細かい手術がしやすくなる頃、すなわち生後3か月頃に行われることが多いようです。しかし、みつくちの程度によっては、1回の手術では十分に変形を取り除くことが出来ずに、成人になってから、2回目、3回目の手術を行うこともあります。
 また、みつくちは手術後にくちびるに残った傷あとやへこみ、鼻の変形などが起こることもあります。みつくちでお悩みの方は、一度お近くの形成外科か専門の病院でご相談なさってはいかがでしょうか。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。