2006年12月
【月曜】 視力回復グッズの効果は?
視力回復グッズとは、「近視が治療できる」「視力が向上する」などの視力回復の効果をうたって市販されている製品を指します。超音波や磁力線、低周波を使用したものなど多種多様なものがあります。
まず、これらのどの製品にも言えるのですが、目のどの部分にどのように作用して視力が向上するのか科学的な証明はされていません。もし目の状態にそれだけの影響を与えるのならば、目はもちろん、体のほかの場所に副作用が出ないのか不安があります。また、視力が向上した患者さんのレポートを宣伝広告に記載していますが、全体の正確な統計的データは公開されていません。なにより視力低下の原因となった病気も明確にされていませんので、その製品がうたっている治療効果には、はなはだ疑問が残ります。
効果が不明でありながら、こういった製品が発売されている背景には「近視は悪い事だ」という考え方が根強く残っていることと、近視になるのを防ぐ確実で有効な手段が無いことがあげられます。また、現在のところ近視の治療がメガネやコンタクトレンズ以外では、近視矯正手術だけです。しかし、全ての患者さんにお勧めできる方法とは言えないこともこうした視力回復グッズが販売される原因となっています。
ある程度の近視であれば、それは人間の個性の範疇であり、近視は中年期以降にも老眼鏡をかけなくて済む、コンピューターなどの近くを見る作業が多い現代の職場ではかえって近視は疲れにくい目である、と考えてみても良いのではないのでしょうか。
このような視力回復グッズを安易に使用することは視力低下の原因となる他の病気の発見、治療を遅らせる事にもなります。見づらいと感じたり、健康診断などで視力低下を指摘された場合は、まず眼科を受診して正確な診断を受け、原因に沿った治療を始めるようにして下さい。