2007年1月
【水曜】 膝に水がたまったら
膝が腫れて痛んできた場合、膝の関節に炎症を起こしていると考えられます。炎症を起こす原因は色々ありますが、大きく分けてケガによるものと病気によるものがあります。
ケガによる場合は、膝をひねったりぶつけたりして、関節の軟骨や半月版、靭帯さらに骨が傷ついていることがあります。この場合、傷ついた所からの出血で関節の中に血液がたまることもあります。X線検査の他、症状によってはMRIや関節鏡などの検査が必要となります。
ケガ以外の原因では、関節軟骨がすり減って起こる変形性膝関節症が一番多いのですが、関節リウマチや痛風などの全身の病気が原因で膝が腫れることもあります。この他、膿が関節にたまる化膿性関節症や、ピロリン酸カルシウムという結晶が引き金となる関節炎などもあります。透明な液なのか、濁った液なのか、血液なのか、どんな液が溜まっているのかを調べるために、関節に針を刺して液を抜き検査します。これである程度診断がつき治療にも役立ちます。
「水を抜くとクセになるから抜かない」と言う人がおられますが、これは間違いです。水を抜いたから溜まるのではなく、炎症が治まっていないから溜まるのです。関節に水がたくさん溜まっている状態で放っておくことは、膝にとって悪いことです。
慢性的に持続する変形性膝関節症の場合には、大腿の筋肉を強くする筋力訓練や、肥満気味の人は減量に努めることが大切です。また、サポーターや膝装具、時には杖を使って膝にかかる負担を減らすことも大切です。湿布や塗り薬、飲み薬なども、腫れや痛みを和らげる効果があるのでよく使います。近年は、軟骨を保護するヒアルロン酸の関節注射も広く行われています。腫れや痛みが強い場合は、炎症を抑える関節注射も行われることがあります。
ただ、先程お話しました様に、変形性膝関節症以外にも膝が腫れたり痛んだりする原因はたくさんありますので、原因を診断し適切な治療を受けるため、早めに整形外科を受診してください。