2007年3月
【水曜】 手術の必要な腰の病気
人類が二本足で立って歩くようになってから、腰痛は、人にとってつきものの病気といえます。一生のうちに一度も腰痛にわずらわされない人は皆無と言って良いでしょう。ひと括りに腰痛といっても原因は様々です。例を挙げると、腎結石、尿管結石による腰痛、婦人科疾患によるもの、胃腸が悪くて生じるもの、悪性腫瘍の転移によるもの、骨粗鬆症により圧迫骨折が生じて腰痛をおこしたもの、脊椎が細菌に侵されて生じた腰痛などと種々様々な原因があります。
そのため、専門医による正しい原因診断が必要です。正しい診断の上でのみ正しい治療があります。むやみに接骨院やカイロプラクテイスなどで治療すると手遅れになることがあるという事を知っておくのが大切です。
腰痛の代表的な疾患に腰椎椎間板ヘルニアがあります。これは、腰の骨と骨の間のクッションである柔らかい椎間板の壁が傷ついて内容物が飛び出し、腰の骨の中を通る神経を圧迫している状態です。この腰椎椎間板ヘルニアに対する治療法が、MRIという画像検査が普及したことにより変ってきています。手術をする症例が極端に減って保存的になるべく手術をしないで治療するようになってきました。自然治癒するものが多くある事もわかってきました。しかし、ヘルニアがあるために、おしっこが出にくくなったり、足が麻痺したりする場合は緊急手術をしなければいけないこともあります。したがって専門医による診断が大切になってきます。
また、年齢に伴い脊椎の神経が通る管が狭くなる脊柱管狭窄症という病気があり、足が前に出ずらくなり、歩きにくくなる患者さんがいます。みのもんたさんで有名になったのでご存知の方も多いと思いますが、高齢者が増えたために、手術する人も増えてきています。やはり専門医と相談して、十分な説明と納得の上で、セカンドオピニオンなども活用して手術を受けられ、人生のクオリティを高めることも大切なことと思われます。