2007年4月
【金土日】ホクロとガン
ホクロはカラダのどの皮膚にでも発生します。生まれたばかりの赤ちゃんの肌はホクロと思われる斑点はほとんど見られません。大きくなるにつれ皮膚に褐色の斑点が徐々に増えてきます。これは主として母斑細胞という細胞が異常繁殖することにより黒褐色の斑点が皮膚に生じておこります。皮膚の浅い部位にできる母斑細胞はメラニンという色素を作る能力が高いので、黒く見えます。また皮膚の深い部位は真皮といわれますが、ここではメラニンを作る能力が低いので黒くみえないで盛り上がるタイプのホクロが多く見られます。母斑細胞とは別に、もう一つメラニンを作る細胞、すなわちメラノサイトが集まってできる黒色の色素班があります。
これら2種類の細胞からできたホクロの中にはケガや紫外線、放射線、打ち身といった刺激によって悪性黒色腫というホクロのガンが発生する場合があります。悪性化する兆候は急に大きくなったり盛り上がったり、だんだん黒くなって周辺へ茶色のしみだしが出てきたり、赤黒くなって出血したり、ホクロとの境界がはっきりしなくなったりすることです。手足に直径6ミリ以上の大きさのホクロがあれば要注意です。悪性黒色腫の中でも、特に手足にできる色素斑が悪性化したものが日本人に多く、悪性黒色腫の約半分を占めています。悪性黒色腫がなぜ怖いのかという理由はリンパ管や血管を通して肺や脳へ転移しやすいからです。
また、ホクロと似たものに皮膚の老化現象であるしみがあります。これは医学的には老人性色素斑といい、年齢や紫外線の影響によって、顔や手足などに茶褐色の色素斑ができます。この老人性色素斑の一部がいぼのように隆起して良性の腫瘍になったものを、「老人性疣贅(ゆうぜい)」といいます。これがいわゆる老人性いぼです。
このような症状に気づいたら、すぐかかりつけの皮膚科医にご相談ください。ホクロのガンは早期発見、早期治療が必要です。治療は、原則的には外科手術で切除しますが、抗ガン剤による化学療法なども組み合わせて行います。