2007年5月
【水曜】 つき指
「つき指」とは手の指先をボールなどで押し込むように外からの力を受けた結果、ソーセージの様に腫れた状態を指します。指の股と爪の近くの関節のちょうど中間の関節、いわゆる第二関節にもっともよく発生します。ドッジボール、バスケットボール、バレーボールなど大きなボールを扱う競技でよく起こります。その他、鉄棒や遊具から転がり落ちたり、鬼ごっごをして手をついて転んだという例もあります。普通以上に指が腫れ上がった状態があれば、「つき指」と判断していいと思います。
その場合、すぐにしていただきたいことは、指を軽い力で引っ張ることと冷やすことです。テープや包帯でクルクルと巻いて固定していただいてもいいでしょう。程度が軽ければ、そのまま競技を続けることができますが、終わった後で必ず整形外科医の診察を受けましょう。
指は非常に繊細な動きをする運動器官です。字や絵を書く、ピアノを弾く、さらには、バットを握る、変化球を投げるといった具合です。このような複雑な動作をできるのはヒトだけです。ヒトの指は細かい動作ができるように進化し、さらに鋭敏な知覚を合わせ持つようになりました。ヒトの指は創造の神が造り上げた最高の傑作といえます。ヒトの指は10分の1ミリの厚さの差を感知できると言われています。このように高度なセンサーとしても働きます。さらに、握る、放すなどの高度な動作を10本の指が連携して行っています。したがって、指1本1本の繊細な動きが重要な働きをしています。
「つき指」といわれる損傷の中には、骨折や脱臼、スジの断裂や、神経や血管の損傷を伴う場合があります。そのまま放置すると、指が曲がって固まってしまうなどの後遺症が残る場合もあります。また、一旦固まってしまうと、それを直すのは容易ではありません。たかが1本の指と思っても、大変な不自由さを感じます。指はすべて揃って1つの行動をするからです。「つき指」をしたら、放置せずになるべく早く整形外科を受診しましょう。