2007年7月
【木曜】 臭いがわからない
風邪をひいたり、花粉症だったり、鼻が詰まるととたんに臭いがわかりにくくなります。臭いがわからなくなると、食べ物が美味しくなくなります。鼻が通るようになればたいてい臭いは戻りますが、まれに臭いがわからない状態が長引く事があります。
この臭いがわからなくなる障害を「嗅覚(きゅうかく)障害」と言います。臭いがわかなくなって困るのは食べ物のことだけではありません。ガス漏れの感知をはじめ、危険を察知するための重要なセンサーでもあります。また、最近ではアロマテラピーなど、癒しの効果も日常的に使用されるようになりました。
まず、「何故臭いがわかるのか」と言う点ですが、臭いのもとになる物質が鼻に吸い込まれて、鼻の中にある嗅覚細胞に触れます。そこから臭いは電気信号として神経に伝わり、さらに大脳の中に伝わって、臭いとして認識されます。
このような臭いを感じるシステムから、嗅覚障害の原因はその部位によって大きく3つに分かれます。一番多いのは、鼻の炎症などで鼻が詰まり、嗅覚細胞に臭いを含んだ物質が触れなくなってしまうものです。また、慢性的な炎症などで嗅覚神経そのものが損傷されることもあります。さらには、外傷や腫瘍などの原因によるものもまれにはあります。実際にはいくつかの原因が複合していることも、まれではありません。
この原因と障害の程度を知るために、いくつかの検査の方法があります。よく行われているのは、アリナミンを静脈注射することで、臭いの障害の程度を判定する方法です。特別な機械を使ってもっと詳しく臭いの種類や障害の程度を調べたり、CTやMRI、さらには内視鏡などで、障害の部位を確定します。
治療は、原因となっている疾患の治療とステロイド剤の点鼻療法、またビタミン剤や血流改善剤の内服などが中心になりますが、原因によっては長期にわたる事もあります。
臭いがわからないと感じたら、まず耳鼻科を受診してください。さらに難しい症例では、大学病院などの専門外来を紹介される場合もあります。一般に障害が起こってから時間が経つほど治りにくくなりますので、早めの受診をおすすめします。