2007年7月
【火曜】 歯周病ってなあに?
歯周病は文字どおり「歯の周りの病気」で、歯ぐきの炎症による出血や腫れを特徴とする歯肉炎と、歯をささえている骨が溶ける歯周炎に分けられます。一般にいわれる歯槽膿漏とは歯周炎のことです。これは人類が文明の開化とともに、火で調理した柔らかい食べ物をとるようになり生まれた古代からの病気です。野生の動物にはほとんど歯周病はありませんが、犬や猫などペットの多くは歯周病にかかっています。火で調理していない生肉、木の実、草の根といった生の硬い食べ物は、食事のたびに外側から歯ぐきをこすって鍛錬します。また、強く噛みしめないと食べられないので骨や歯の周りの組織も内面から鍛えます。しかも線維性に富んでいるので食事をしながら同時に食べかすも取り除いています。したがって、火を使う以前の人類や野生の動物にはブラッシングの必要性がなかったわけです。
現在の日本では、成人の8割以上の人が大なり小なり歯周病に罹患しています。あまり痛まず、腫れも目立たず、自覚症状もそれほどないので、じわじわと進行することが多く、気が付いた時にはかなり骨が溶けてしまっている恐ろしい慢性的な病気です。
歯周病の最大の原因は、細菌および抵抗力のない歯ぐきの存在です。その細菌は酸素のないところで活動する特徴を持っており、歯と歯ぐきの間につくられる歯垢の中に繁殖して、歯肉に炎症を起こし骨を溶かします。この原因を除去するには歯と歯ぐきの間の食べかすを残さずに取り除くことと、抵抗力のない歯ぐきに適度な刺激を与える適正なブラッシングを毎日欠かさず行うことです。
歯周病には軽いものから重いものまで様々ですが、一度溶けてしまった骨がもとに戻ることは難しいので、出来るだけ早期に受診することが重要です。歯みがきの時に出血したり、歯に物がよく詰まりだしたり、人から口臭がすると言われたり、何か少しでも症状があれば、勇気を出して受診してください。また、些細なことでも心配事があれば、かかりつけの歯科医師に一度相談することをお勧めします。