2007年8月
【木曜】 味が変だ、味がわからない
食物や飲み物にはそれぞれ味があり、食べたり飲んだりするときには味を感じます。この味の感覚を味覚といいます。
味を感じるセンサーは舌だけでなく、ほかの口の中の粘膜やのどにもあります。したがって、舌だけではなく、のどや鼻の病気でも味覚の異常はおこります。例えば、耳の鼓膜の奥を走っている神経も味覚の伝道経路の一部ですので、中耳炎などの耳の病気が味覚の異常の原因となることもあります。
舌の表面には小さなプチプチの中に味覚を感じとる、味のつぼみと書く、味蕾(みらい)とよばれる細胞があり、ここで味覚をキャッチして、その情報を脳に伝えることによって“味”を感じることができるようになっています。この細胞は、約1ヶ月ごとに新しく生まれ変わるので、感覚細胞も再生することがわかっています。したがって、ダメージを受けても回復する可能性が高いのですが、この味蕾はいくつかの原因で障害を受けます。
まず全身的な異常としては、貧血、胃腸の障害、ウイルスや細菌の感染、シェーグレン症候群を代表とする膠原病があります。シェーグレン症候群では唾液が減って舌の表面を中心に口の中が乾燥して味蕾がいたみます。また、ビタミンや鉄、亜鉛などの不足や食品添加物が原因となることもあります。さらに、インスタント食品や保存食品の食べすぎ、偏った食生活が、特に若い人たちの味覚の異常の原因のひとつと指摘されています。中高年以上の人にはかなり多い原因として、服用している薬があり、これを変更して改善することもあります。そのほか入れ歯が原因であったり、胸焼けのように胃液がのどに逆流することも原因になることがわかってきました。
味覚の客観的評価と異常の診断には、電気味覚検査や味覚ディスク検査と呼ばれる検査や、CTやMRIが必要なこともあります。さらに、味覚には不安や睡眠不足、神経症やうつ傾向なども大きく影響します。まずは、お近くの耳鼻咽喉科医に相談してください。