2007年11月
【水曜】 変形性脊椎症
私たちの祖先が2本の足で歩くようになって以来、背骨は体重を支えるという宿命的な問題を抱える結果となり、腰に痛みを感じないで一生を送れる人はいないと言ってよいほどです。
腰の痛みは色々な原因で発生しますが、その中でも良くみられるのが変形性脊椎症です。 これは首から腰にかけて脊椎のどこの部分にも起こりますが、ここでは、腰に起こる変形性脊椎症について説明します。
背骨は骨と関節軟骨、椎間板、靭帯などからでき上がっていますが、変形性脊椎症はこの中で主として関節軟骨と椎間板の衰えが原因で発生するといわれています。20歳代頃から少しずつ、関節軟骨と椎間板にみずみずしさと弾力性が失われ、正常なクッションとしての役割が果たせなくなってきます。そして次第に、関節軟骨がすり減り、椎間板がつぶれる結果となり、背骨が不安定となって骨の棘(とげ)ができてきます。
こういう状態を変形性脊椎症と呼びますが、変形があっても必ずしも痛みがあるわけではありません。
症状の特徴は、朝起きた時や動作を開始する時の痛みが強いことで、この痛みはしばらく動いているうちに楽になってきます。また時に、神経や血管が圧迫されて下肢の痛みや痺れが現れることもあります。痛みをとるためにはコルセットをつけたり、温熱療法、電気治療などの理学療法を行なったりしますが、痛みが強いときは非ステロイド性消炎鎮痛剤を使います。治療によって痛みが軽くなったあとは再発を予防するため、腹筋、背筋の筋力トレーニングを行ったり、軽いストレッチ体操などをするのも良いでしょう。
腰の痛みは内科や婦人科の病気、あるいは癌の症状として起こることもあります。体を動かさなくても痛みが続くときなどは整形外科疾患以外の重大な病気が隠されていることがありますので、そのような時はぜひ整形外科の医師にご相談ください。