2008年1月
【木曜】 肛門のかゆみ
肛門のまわりがかゆくてたまらない。夜中、眠っているときに掻きむしってしまう。やがて掻き過ぎて皮膚がただれてしまい、ヒリヒリと痛み、排便後にまともに拭けない。洗浄便座のお湯があたるとしみる。このような肛門周囲のかゆみを治療しないと、皮膚炎から皮膚がただれを起こします。
かゆみの原因は極めて多く、よくみられるものの代表は皮膚のカンジダです。次いで最近増加しているものに、洗浄便座の温水を強くあて過ぎることによる皮膚炎があります。肛門部がかゆいと、どうしてもお湯を強くあてるようになります。その結果、皮膚はますます傷み、ただれ、べたついてきます。洗浄温水はゆるめに使用してください。お湯で洗うことはたいへんいい方法です。
子どもさんが肛門をかゆがるときは、寄生虫に注意してください。特に日本で最も多い蟯虫(ぎょうちゅう)は、幼稚園や保育所、家庭内で感染しやすいもので、蟯虫の卵が、手から口に入って感染します。検査法としてはセロファンテープ法で2~3日連続して調べるほうがよいでしょう。感染していることが分かった人だけでなく、家族全員が同時期に薬の服用による治療や予防をしてください。
肛門のかゆみの原因には、痔ろう、内痔核(ないじかく)、慢性の裂肛(れつこう)などの病気があります。痔ろうの穴からでる分泌物が肛門周囲の皮膚を不潔にする、皮膚が刺激されてかゆみがきます。痔核の場合、痔核粘膜からの粘液が増加するために、皮膚が常にべたつきやすくかゆくなります。これらは原因の治療をしないと改善しません。最近は飛び出してくる痔核でも、特殊な薬液を注入することによって切らずに治せるようになってきました。肛門科でお尋ねください。
肛門周囲は清潔にしておくこと。ただし、あまり神経質になって拭き過ぎない、洗い過ぎないことが大切です。かゆみが治まっても再発することが多いので、医師が許可するまで治療を続けることが必要です。
肛門がかゆいといってもその原因は様々ですから、専門医にまず相談して、正しい治療を受けてください。