2008年2月
【水曜】 家庭での血圧測定
規則的な生活、毎日の運動や減塩食を心がけているにもかかわらず、家庭での血圧測定で上が140、または下が90mmHg(ミリ)を常時超えるようであれば、高血圧治療の対象となります。
脳卒中、心筋梗塞といった生活習慣病の危険因子の一つである高血圧の治療目的は、服薬を続け、平均血圧を下げることで、生活習慣病の危険度を正常の人の近くにまで下げることです。このとき効果は5年を単位として見ますので、今日から治療したので、明日から元気になるというものではありません。
血圧治療を考える時、人間の血圧の特徴を理解しなくてはなりません。血圧は緊張すれば上昇しますし、リラックスすると低下するので、24時間一定の値ではありません。また、生理的に1日のうちで朝が少し高くなります。30mmHgくらいの血圧の変動は生理的なものですが、高年齢で動脈硬化が強くなると変動が大きくなります。
「白衣高血圧症」という名前があるように、特に緊張される方では、医療機関での初診の際に通常より40mmHg以上高くなることもあります。それゆえ、病院での血圧値を対象にしては高血圧の治療はできません。最近では簡単に家庭で血圧測定ができるようになってきました。例えば、病院ではいつも上の血圧が170mmHgである高齢者の患者さんが、家庭での血圧が120mmHgまでであったら、降圧剤を投与することにより、かえって血圧が下がりすぎる可能性もあるのです。このように、家庭で血圧を測定することは血圧治療の点から考えると重要です。
しかし、そのための弊害もあります。血圧を簡単に測定できますので、しんどくて血圧が高ければ、「しんどいのは高血圧のせい」と考えられがちです。しかし普段、上が130mmHgの血圧の方が170mmHgに上昇したからといって、一般的にはしんどくなることはありません。基本的に上が200mmHgになっても、そのための症状は普通はほとんどないのです。むしろ、かぜや胃痛などの別の原因でしんどいために、交感神経が緊張してある種のホルモンを出し、血圧が一時的に上昇している可能性があるのです。特に症状がなければ、一喜一憂する必要はありません。
いずれにせよ自分勝手な判断をせず、かかりつけの医師とよく相談して血圧管理を行ってください。