2008年2月
【火曜】 ストレスが原因で起こる歯科の病気
精神的なストレスが身体に影響を与えることはよく知られています。たとえば、極度の緊張感や不安感にさらされると顔が青ざめたり、心臓がドキドキしたりするのは、誰しも経験したことがあると思います。たいていは、不安や緊張が解消されれば自然に治りますが、ストレスが長期に続くと、自律神経系や内分泌系に変調をきたし、思わぬところに病気が発生します。
歯科で扱う病気でも、ストレスが影響していると考えられるものがあります。まずストレスで虫歯ができることがあります。これはストレスで唾液の分泌が減り、虫歯ができやすくなります。次に、顎の関節の痛みや口があきにくくなるなどの顎関節症です。この原因の一つにストレスがあります。そして歯周病です。主な原因は、歯垢と歯石ですが、ストレスが加わることで、歯の周囲で慢性の炎症が起こり、歯を支える骨が急速に破壊されます。つまりストレスは、歯周病を急速に悪化させる原因となりうるということです。その他歯ぎしり、口内炎、口臭、原因のはっきりしない治りにくい歯の痛み、歯や歯茎の異常感覚なども、ストレスが原因のものがあると言われています。
ストレスが原因かどうかの診断は簡単にはできませんが、他に明確な原因が見当たらない場合には、ストレスが原因と疑ってみることも必要です。ストレスが原因の疾患は、ストレスの解消を図ると共に、適切な対症療法を行うことで、比較的簡単に治る場合が多いのですが、中には、うつ病など歯科治療だけではいくらやっても治らないケースがあります。
リストラ、長時間労働、受験競争など、年齢層の如何にかかわらずストレスが強い現代です。できるだけ心のゆとりを持つことも大切です。
ただし専門家でないとわかりにくいことが多いので、気になる症状をお持ちの方は一人で悩まずに歯科医院を受診し、場合によっては神経科や心療内科を紹介してもらってください。