2008年5月
【金土日】最近の水虫の話題
今日は、最近の水虫の話題ということで、格闘技でうつる、顔や頭の水虫についてお話しします。
水虫と言うと足にできるものと思われる方が多いと思います。ですが、実は水虫というのは身体じゅうどこにでもできるものなのです。
水虫の正体は白癬菌というカビです。この白癬菌というカビは、ケラチンという人間の皮膚にある蛋白質をエサに生きています。したがってケラチンのある所なら白癬菌はどこでも生きていけるわけです。そのため、頭の皮膚や髪の毛にも水虫ができることはあるのです。
顔や頭にできる水虫は「トリコフィトン・トンズランス」という種類の水虫です。トンズランスなんて随分面白い名前ですが、正式な名前です。この水虫菌は顔や頭の皮膚にできて、赤い発疹(ほっしん)を作ったり、髪の毛が抜けて地肌に黒い点々のような小さな塊を作ったりします。
このトリコフィトン・トンズランスという水虫は、レスリングや柔道などの格闘技選手の間で流行しています。この種類の水虫は元々は日本にはなかったもので、国際試合など、海外の選手との交流で日本に入ってきたものと考えられています。レスリングや柔道などで、直接相手の顔や頭の皮膚に自分の皮膚がくっついてしまうような状況になる時にうつってしまうようです。学校のレスリング部や柔道部などで、誰か一人が感染してしまうとクラブ全体に集団発生してしまうことがあるので、注意が必要です。
治療には飲み薬が必要になることが多いのですが、診断がついてきちんと治療すれば治るものです。大切なことは、顔や頭にも水虫ができることがあるのだということを知って、顔や頭に治りにくい湿疹のようなものがあったり、髪の毛が抜けた所があったりしたら、ひょっとしたら水虫ではないかと疑うことです。皮膚科の先生にみてもらえば、必要に応じて、顕微鏡で検査をしたり、皮膚の一部を削って培養試験に出して調べてもらえます。
おかしいなと思ったら、皮膚科の先生に診てもらって、きれいでさっぱりとした皮膚を保ちたいですね。