2008年5月
【水曜】 「心臓に雑音がある」と言われたら
学校や職場の健診で「心臓に雑音がある」と言われて、相談に来られる方が時々おられます。心臓が悪いのかとたいへん心配されますが、すべてが心臓病というわけではありません。検査をしてみると、むしろ正常な人の方が多いくらいです。
心臓の音には「心音」と「心雑音」というものがあります。聴診器で聞いて音に異常がある場合は、心音の異常か、または心雑音があるということです。
正常な人では、第一音と第二音という心音が、ズートン、ズートンと規則正しく聞こえるだけで、雑音は聞こえません。病気になるとこの心音が大きくなったり、小さくなったり、分裂したり、別の音が加わったりします。
一方、心雑音とはザーザー、ドロドロなどと、色々な音に形容される、持続の長い振動群のことをいいます。心雑音は血液の流れが速くなったとき、心臓の弁の開閉が悪いとき、心臓の壁や血管に孔があいている時などに生じます。
診察や検査などで緊張すると、血流が速くなり雑音が現れることがよくあります。心音の異常を伴わない、やわらかい雑音で、これを「機能性雑音」とか「無害性雑音」といいます。しばしば見られますが、心配のいらない雑音です。
心臓には4つの弁があります。この弁がしっかり閉じなかったり、狭くて開かなかったりすると、心臓が縮んだり伸びたりするときに雑音が出ます。これが弁膜症です。衛生状態が良くなった日本では少なくなりました。
生まれつき心臓の壁に孔があいていたり、心臓や血管の奇形により生ずる雑音の場合は、早めの治療が必要です。これらの先天性心疾患は、重症な場合は生後間もなく症状が出てきます。軽症なものは定期健診などで発見されることがよくあります。胸のレントゲン写真、心電図、心臓超音波検査などの簡単な検査で大体診断がつきます。
心雑音を指摘された場合は、まずかかりつけの医師に相談して、専門医の治療を受けましょう。