2008年7月
【木曜】 前立腺癌-健診のおすすめ
「前立腺」は男性特有の臓器で、アメリカなどでは、男性の癌死亡の原因のトップです。ご高齢で亡くなられた方のご遺体を解剖させていただくと、2~3割の方がこの前立腺癌を持っていると言われています。
日本も平均寿命が年々延びて、前立腺癌にかかる方も増えています。外来患者さんには前立腺癌の方は結構おられます。治療中のご本人には、「悪性の癌ですから、きちんと通ってくださいね」とお伝えしています。というのも、この癌は命を脅かす場合とそうでない場合があるのです。
命にかかわる場合というのは、おもに50代~60代の若い方で、進行が早くあちこちに転移する場合と、前立腺が大きくなっておしっこがうまく出せなくなり、腎臓をいためる場合です。この場合は積極的に手術や抗がん剤の治療を行います。
高齢で、症状も軽い場合は飲み薬などで治療します。最近はよく効く注射や飲み薬もでき、治療もたいへん楽になりました。ただ、その場合でも腰の骨に転移して痛みが出たり、神経や骨を痛めて歩けなくなることもありますので、きちんと通院していただくことが大切です。それで、悪性であることをお伝えし、一緒に治療を続けていくのです。
そのような訳で、男性の方は50歳を過ぎたらぜひ、前立腺癌健診をお受けください。最近では人間ドックの中に組み入れているところもあります。健診はいたって簡単、専門である泌尿器科医がおしりの穴からちょっと指を入れて前立腺を触らせていただくことと、血液検査をする、この2つだけです。おしりの穴は抵抗があると思われるでしょうが、胃カメラや大腸カメラのように苦しいこともなく、お金もあまりかかりませんし、ご飯をぬいたりする必要もなく、いつでもできます。
日本も高齢化社会を迎えています。快適な老後を過ごすためにもぜひ年に一度、前立腺癌の健診を受けられることをお勧めします。