2008年8月
【木曜】 肺癌の早期発見のために
日本人の死因の第1位は癌による死亡であり、なかでも、肺癌による死亡は部位別癌死亡率で第1位を占めています。現段階で、肺癌の根治が期待できる唯一の治療法は手術なのですが、肺癌と診断された人のなかで、手術が出来る段階の人はわずか2割程度です。残りの8割の人は抗癌剤や放射線治療を行いますが、完全に治ることはほとんど期待できません。
一般に肺癌は進行が速く、症状発現時には手遅れのことが多く、早期発見の困難な癌の一つです。しかし、発見が早く治療が早いほど、治癒率は向上します。
まずは、職場の検診や住民健診などで肺癌検診を受けましょう。これは早期発見が役立ちます。症状の有無や喫煙の有無にかかわらず受けるようにしてください。
ただし、胸部単純レントゲン写真では、ある程度進んだ癌が見つかっても、早期発見が十分できないため、CTという検査が有用であることが言われています。小さな陰影や診断が難しい陰影では、CT検査により詳しく調べることで肺癌の診断がつきやすくなります。
もう一つの診断法は、痰の中の細胞を調べる検査です。肺癌には、肺の入口にできる「肺門型」と、肺の末梢つまり奥の方にできる「肺野型」という、2つのタイプに分けられます。痰からの悪性細胞検出は、前者の肺門型で有用とされています。特にタバコを吸う人には肺門型が多く、「一日の喫煙本数」×「喫煙年数」が600以上の人では発症するリスクが高いと言われています。肺癌の症状による受診動機で、1位が咳、2位が痰となっています。喫煙者の方は、症状があるのに「タバコの吸いすぎのせい」にして放置することは危険です。
肺癌の早期発見のためには、少しでも異常を感じたらすぐにかかりつけ医もしくは呼吸器専門医を受診し、レントゲンや痰の検査を受けてください。そして早期発見の前に予防が大事であり、喫煙は肺癌だけではなくいろんな病気のリスクを高めますので、この機会に禁煙してはいかがでしょうか?