兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2008年10月

【水曜】 自分の舌で健康チェック―漢方の知識―

皆さんは、ご自分の舌を鏡で見られたことはありますか。舌の色調や形、また舌の表面を覆っていて、舌の苔と書く「舌苔(ぜったい)」の様子などを調べることを、漢方では、舌を診ると書いて「舌診(ぜっしん) 」と言います。その方の体質や病気の状態を知るうえで、大きな手がかりとなるものです。

健康な方の舌は、きれいなピンク色で全体に薄い苔で覆われています。一方、舌の周辺に歯の形のついているものは、歯のキズと書いて「歯痕(しこん) 」と言います。身体のエネルギーが不足していたり、身体に余分な水分が貯留していることを示します。

体に余分な水分がたまることを、漢方では水の毒と書いて「水毒(すいどく) 」と言いますが、いろいろな病気や症状の原因になると考えられています。舌の色が白っぽいときには、貧血や冷え症の場合が多いですし、ストレス過剰でイライラしている時には、舌の尖端を中心に濃い赤色になります。また、舌に赤いプツプツが見られる時は、熱性の病気を疑います。

舌に暗褐色~紫色の部分がある場合、これを漢方では「瘀斑(おはん) 」といって、「瘀血体質(おけつたいしつ) 」、すなわち、全身の血液の流れが悪くなるような方に多くみられます。「瘀斑」は月経障害のある女性や、食事が偏っていたり、ストレスが強かったりしても現れることが多く、このような状態が長く続くと、重大な病気につながることも考えられます。

舌苔は、食べ過ぎや飲みすぎの方では分厚く汚い感じになりますし、一方、身体が脱水傾向になると、舌苔がまだらに剥がれてしまいます。さらに、舌苔がまったくなくなる場合を、鏡の面の舌と書く「鏡面舌(きょうめんぜつ)」と呼んでいます。

舌苔の色ですが、過度の疲労や病気で免疫力が低下すると、口の中の正常な細菌をおしのけて嫌気性菌(けんきせいきん)という病的な細菌が繁殖することで、舌苔が黒褐色になることがあります。喫煙者では舌苔は黄色く染まりますが、これ自体は病気ではありません。

このように、舌は単なるおしゃべりの道具だけではなく、あなたの体調を雄弁に語ってくれる、いわばあなたの体の代弁者なのです。明日から毎朝、ご自分の舌を鏡に映して、健康チェックをされてみてはいかがでしょうか。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。