2008年10月
【月曜】 子どもの急な発熱の仕組み―お母さんあわてずに
小さな子どもはよく熱を出します。しかし熱が出ることは決して悪いことばかりではありません。つまり熱も必要があって出るからです。
ウイルスや細菌が体内に入ると、体はそれを敵とみなして排除しようとします。これを免疫と言いますが、熱が出ることも大切な免疫の一つです。リンパ球やマクロファージといった体の中の兵隊さんたちも頑張るのですが、それだけでは間に合わない場合もあります。そんな時、体は熱を出すことによって悪者を退治しようとします。実は、ウイルスや細菌は熱に弱いので、熱が高くなると逃げ出してしまうというわけです。
よく「38.5度以上になると坐薬で熱を下げる」と言う人がいます。しかし元気であれば、無理に熱を下げない方がウイルスや細菌を早く退治できる場合もあります。ただし水分はしっかりと取り、頭などは冷やしておくことも大切です。特に生後3カ月以下の乳児の発熱の場合には、早めの受診をおすすめします。また、ぐったりして元気がないとか、あるいは熱性けいれんなどの持病がある子どもさんは、かかりつけ医の指示通りに解熱剤や抗けいれん剤等を使用し、改善が見られないようであれば早めに診察を受けましょう。
さて、大人も含め、熱が出る前になぜ寒気がするのでしょうか?簡単にご説明します。
ウイルスや細菌が体に入ると「このウイルスには39度の熱を出せ!」と脳が指令を出します。しかし一瞬にして熱は上がりません。この時、体温が仮に36度だとすると脳が指令を出した39度とは3度の差があります。脳は自分が思っている温度より体の方が3度寒いと感じます。このため脳は筋肉をブルブルと震えさせ熱を上げようとします。これが寒気と震えの正体です。
やがて39度まで上がると、脳は寒気を感じなくなり、この時じわっと汗が出ます。このタイミングで、布団を薄くしたり薄着をさせたりして、体温が上がり過ぎないようにします。厚着のままでいるとどんどん熱が上がってしまい、かえって悪い環境を作ってしまうからです。
熱はありふれた症状ですが、発熱の仕組みをよく知り、あわてずに上手に付き合うことを心がけましょう。