2008年11月
【金土日】蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹とは、皮膚の血管から水分がしみ出すことによって起こる疾患です。いわゆる湿疹と決定的に異なる点は、個々の発疹はどんなに長くとも24時間以内にあとかたを残さずに消えることです。ただ、あちこちと場所を変えながら発疹の出没が続く場合もありますので、果たして個々の発疹があとかたを残さずに消えているか否かに関して、注意深く観察することが必要です。
通常、ある日突然に発疹の出現を認めます。但し、多くのケースでは1~2週間程度で自然に治癒し、このような経過の場合を「急性蕁麻疹」と呼びます。しかし、全体の1~2割では半年~1年以上に及んでだらだらと発疹が続き、4~6週間以上発疹が持続した場合を「慢性蕁麻疹」と呼びます。
蕁麻疹の原因としては様々な要因が挙げられますが、アレルギーによる場合は世間で信じられている程多くはなく、イギリスでの大規模の統計に基づくと全体の5%以下とされています。最も多いのは“特発性蕁麻疹”と呼ばれるもので、特に明らかな原因は存在しないものの、体内のちょっとした不調により発症すると考えられています。
先に述べたように、蕁麻疹の場合には個々の発疹は1日以内に消えますので、塗り薬を用いて現在存在している発疹を治すことに重要な意味はなく、内服薬を服用することで、これから出てこようとしている発疹が新しく出てこないようにすることが、治療上の最大の目標となります。通常は、抗ヒスタミン剤または抗アレルギー剤と呼ばれる内服薬が第一選択となります。このような薬剤を服用することにより、まず発疹が生じなくなるかどうかを観察します。
もし内服薬によって発疹が出なくなれば、以降は当分内服を続けて発疹が出ない状態を保ちつつ、徐々に内服量を減らしながら、最終的に薬の服用を止めることを目標とします。
またそれに加えて、蕁麻疹が生じた場合には、普段から規則正しい生活や疲れにくい体づくりに留意することが大切だと考えられます。とにかく蕁麻疹が出たら、皮膚科専門医または主治医にご相談ください。