2008年11月
【水曜】 骨粗鬆症の新しい知識
骨粗鬆症の人は尻餅をついたり、重い物を持ったり、あるいはくしゃみをしたりしただけで骨折します。日本人の寝たきり原因の第1位は脳卒中で、2番目が骨折です。
骨折の危険性の程度は、骨密度だけで決まるわけではありません。50歳以降に小さな原因あるいは原因なく骨折したこと、骨密度の程度、年齢、転びやすさ、「代謝マーカー」という骨の新陳代謝の状態などが影響します。このうち50歳以降に骨折したかどうかは最も重要で、それだけで骨粗鬆症と診断してよいでしょう。
手足の骨折は本人が一番よく分かりますが、脊椎(背骨)の骨折は本人が知らないうちに骨折していることがあります。高齢になってから「ぎっくり腰」で2~3日動けなかった経験がある人や、若い頃に比べて身長が3cm以上縮んでいる人は、必ず脊椎のレントゲンで確認する必要があります。骨密度の測定は、通常、超音波検査で測定しますが、一番正確な方法としてはDXA(デキサ)法と呼ばれるもので行います。測る部位は手首、脊椎、大腿骨があります。
診断はどの部位でも良いのですが、薬の治療効果をみるには脊椎でなければわかりません。代謝マーカーというのは血液・尿で測定することができます。これが異常に高かった場合は骨折しやすいということがわかってきました。
さて、骨粗鬆症は治療すると、ある程度良くなる病気です。治療・予防には食事療法、薬、運動が重要です。
日本人は慢性的なカルシウム不足で1日平均550mgしか摂取していません。以前はカルシウムの必要量は600mgといわれていましたが、最近の研究では800mg必要ということがわかってきました。カルシウムを摂るのにもっとも良いのは乳製品です。乳製品が苦手な人は小魚や豆腐を食べましょう。
運動はウォーキングがすすめられます。元気な方は背筋を伸ばし大股で歩きましょう。運動の効果は骨密度を維持するだけでなく、転びにくくなる効果もあります。
薬は短期では効果なく、長く続けることが重要です。