2008年12月
【木曜】 注意を要する頭痛
ひとくちに頭痛と言っても様々な病気の可能性があります。そのなかには、少数ですが、生命に直接係わるような注意を要する頭痛があります。
代表的なもののひとつが「くも膜下出血」です。この頭痛の特徴は突然に起こる激しい頭痛です。不意にバットで殴られたかのような強い頭痛とともに嘔吐をきたし、そのまま意識を失う場合もあります。このような突発的な激痛が生じた場合には、直ちに脳外科や神経内科などを受診して検査を受ける必要があります。
一般に発症2日以内では、頭部CT検査でほとんどが診断可能といわれています。くも膜下出血の多くは脳血管の一部が膨らんでできた動脈瘤が破裂して起こります。そのため動脈瘤の部位を確認して、再破裂しないようにクリップを掛ける手術が行なわれます。最近では脳血管内に細い管を入れて、動脈瘤内に細いコイルを詰める手技が行なわれることもあります。
最近は脳ドックの普及によって、未破裂の脳動脈瘤が見つかることが増えてきました。脳動脈瘤の大きさによっては破裂防止のための予防的な手術が行なわれることがあります。血縁者にくも膜下出血の人がいる場合などには、念のために頭部MRIによる脳血管の検査を行なっておくとよいでしょう。
一方、このような突然の頭痛以外に注意を要するものとして、「脳腫瘍」や「慢性硬膜下血腫」による頭痛があります。これらは病変が脳を押しのけながら徐々に大きくなるので、一定の期間をかけて痛みが強くなっていくのが特徴です。意識がぼんやりする、手足が上手く動かせなくなるなどの神経症状を伴うことも少なくありません。いずれの場合も早急に手術の適応を判断する必要があります。また、頭痛に発熱を伴うときには、髄膜炎や脳炎に伴う頭痛を考えます。早期に診断を下して、原因になっている細菌やウイルスに応じた治療薬の投与が必要です。
以上、注意を要する頭痛をまとめると、今までに経験したことのないような頭痛、突然におこる激しい頭痛、徐々に強くなっていく頭痛、手足の麻痺や高熱などの症状を伴う頭痛などが挙げられます。
これらの症状があったときには、すぐにご相談ください。