2009年1月
【水曜】 涙や唾液がでない病気-シェーングレン症候群-
「シェーグレン症候群」とは、涙や唾液の分泌が減少することによって、目や口の中が乾燥することから不愉快な症状が出る疾患です。1933年にスウェーデンの眼科医であるシェーグレンという人が、全身的な疾患の一部の症状として出現すると発表したことから、シェーグレン症候群の名前がつけられました。我が国では約10万人から30万人の患者がいると推定されています。
眼の症状としては、コロコロしてきたり充血したりします。これは充分な涙が分泌されないために、乾燥性角膜炎が起こることによります。また涙の量が少ないことから、日光を非常に眩しく感じます。
また唾液の分泌が少ないため、水やお茶なしでパンやビスケットを食べることが苦痛になったり、途中で水を含まないと会話が続けられなかったりします。夜間に口の中がカラカラに渇いたり、虫歯が急に増えたりすることもあります。
検査では、涙の分泌量を測定する検査と、唾液の分泌量を測定する検査があります。
血液検査では、唾液腺の異常を示す血液中のアミラーゼ値の上昇と、シェーグレン症候群に特徴的な免疫の異常を示す自己抗体の出現が見られ、診断時に有力な手掛かりになります。
シェーグレン症候群は、今のところ原因が不明で、多くの場合は徐々に進行するもので、直接的に生命が危うくなることはありません。
関節リウマチの患者さんにシェーグレン症候群がよく合併することが知られています。また、しばしば肺や腎臓が侵され、リンパ球増殖症を合併することや、関節リウマチ以外の膠原病の合併症として起こっていることもあります。
治療は、点眼薬や唾液の分泌を高める内服薬などがありますが、運動をする習慣を続けたり、 毎日ゆっくり入浴をするなど、全般的に体調を向上させることも有効です。
涙や唾液が減って、目や口の中が乾燥する不愉快な症状が続くときには、リウマチ科または眼科の専門医を受診して、確かな診断と治療を受けることが必要です。