2009年3月
【月曜】 更年期障害とホルモン補充療法
女性は45歳~55歳位になると閉経の時期を迎えます。その頃になると卵巣機能が衰えて、排卵が無くなり、月経不順になりやすくなります。日本女性では平均50歳位で月経は停止します。
この頃にみられる全身的ないろいろな症状、いわゆる更年期障害と呼ばれる、不定愁訴すなわち更年期症状が出ます。これは、エストロゲンという卵巣ホルモンが減少することによる自律神経失調の一種です。人により症状はさまざまですが、顔のほてり、のぼせ、汗かき、どきどき、頭が重い、耳鳴り、めまい、疲れやすい、もの忘れ、憂うつ、不眠などです。これらの症状は、数分から数時間、時には一日に数回から十数回、繰り返して現れることもあります。更年期症状は閉経後半年から一年で軽くなりますが、それ以上続くこともあります。自律神経失調の原因としては、卵巣ホルモン以外にもストレス、精神状態、身体疾患、成人病などによっても起りますので、更年期症状だけで片付けないで、専門家に相談することも大切です。
治療は、症状が軽い時や一時的な場合は治療の必要はありませんが、日常生活に支障をきたしている時は、産婦人科や心療内科に相談しましょう。症状を訴えるとともに、悩みごと、たとえば家庭内の問題や仕事の悩みなどを聞いてもらうことも大切です。顔のほてり、のぼせにはホルモン補充療法が有効です。エストロゲン製剤として、飲み薬、貼り薬、塗り薬、注射があります。長期使用の場合には、定期的に婦人科的健診を受ける必要があります。他の症状が長引く場合には、各科の専門医に相談することも大切です。
更年期症状は、病気というより病状であり、家族の適切な助言と支えが必要です。独りで悶々として悩むよりも、趣味を楽しみ、みんなで旅行したり、自然の中でゆっくりとした時間を過ごすことも非常に大切です。女性にとって「人生の下り坂」とは考えず、「人生はこれからだ」という希望をもつことでしょう。