2009年5月
【金土日】高齢者の睡眠障害について
年齢により睡眠のパターンは変化します。若い時は、昼は起きて活動し、夜は眠るという睡眠パターンですが、高齢になってくると、若い時のパターンが崩れ、食後ゆったりとしている時、テレビを観ている時などにうつらうつらとしたり、一日の間に何回も寝たり起きたりという睡眠パターンになっていきます。そのほかに、寝つきが悪くなったり、途中で目覚めることも多くなり、全体の睡眠時間は短くなります。
そのような睡眠パターンの変化から、昼間に寝るので夜中に何回も目覚める、夜中に全く眠れない、夕方早くから寝てしまい真夜中に目覚めるなどの睡眠障害が起きてきます。
また、動脈硬化や身体的な原因で「夜間せん妄」という症状も出やすくなります。「夜間せん妄」とは、誰も来ていないのに誰かが来ていると言ったり、夜中に寝ぼけたような状態となり興奮するものです。多量の飲酒やストレスでも「夜間せん妄」は起きやすくなると言われています。
高齢になって起こる睡眠障害を予防するには、昼間は明るい場所で体を動かし、昼寝はせいぜい30分ほどにして、昼は起き夜は寝るという規則的な睡眠リズムを維持する工夫が必要です。趣味の集まりに出かけたり、散歩をしたり、友達との交流を増やすのも良いでしょう。
高齢者の睡眠障害では、生活リズムの改善や、環境調整といった一般療法が重要ですが、効果が得られない時は、適切な睡眠剤を使うことにより良質な睡眠が得られるようになります。ただ、高齢者では代謝が低下しており、睡眠剤が体に溜まりやすく、ふらついて転倒したり、翌日も強い眠気が残ることがありますので、医師の処方する薬を指示通りに正しく服用することが大切です。また、良好な睡眠が取れるようになったら、医師と相談して減量したり中止する方向にもっていったり、できるだけ少量の睡眠剤にする配慮も忘れないようにしてください。
他人の持っている睡眠剤をもらって服用したりすると、副作用が出ることがあります。かかりつけ医に相談したり、専門医を受診して、自分に合った睡眠剤の処方を受けるようにしてください。