2009年6月
【金土日】毛虫皮膚炎
毛虫皮膚炎は、毒を持った蛾の幼虫によって起こりますが、幼虫のときの毒針が成虫の尾に残っていて、その成虫に触れることによって起こることもあり、この場合は「毒蛾皮膚炎」と呼ばれます。毒蛾にはドクガ、チャドクガ、モンシロドクガの3種類があります。どの種類によって毛虫皮膚炎が起こるかは、地域や季節によって違いますが、阪神地区ではほとんどがチャドクガによって起こります。この理由として、阪神地区では庭や公園にサザンカやツバキなど、チャドクガが好む植物が多いためと考えられています。
チャドクガの幼虫つまり毛虫と、雌の成虫は1匹あたり50万から数百万本の毒針を持っているとされています。その毒針1本の長さは0.1mmで、目には見えないほど小さなものです。チャドクガは危険を感じると、その毒針を空中に大量に発射して身を守ります。 この結果、空中に漂った毒針は、近くの人間の皮膚に直接刺さったり、衣服の隙間から入ったりして皮膚に刺さります。洗濯物に付着して間接的に人間の皮膚に刺さることもあります。
この他、毒の針をもったイラガなども同じように毛虫皮膚炎を起します。
毛虫皮膚炎の症状は、ある日突然、皮膚に直径2mmから3mmの紅色の発疹、つまりブツブツができ、猛烈な痒みを伴います。これには季節性があり、5月、6月と9月にこのような症状が起こったら、まず毛虫皮膚炎を疑います。またイラガの幼虫は毒棘(どくきょく)、つまり毒のトゲも持っており、幼虫の体から突き出したこのトゲを皮膚に刺して、毒液を注入することもあります。この場合は瞬間的に激痛が走り、数分間のうちに皮膚が腫れてきますが、これらの症状は比較的すみやかに消失します。
治療は、症状が軽い方ならステロイド軟膏を塗るだけで、約1週間で治りますが、ステロイドの飲み薬が必要になる重症の方もいます。適切な治療を受けないと、全身の皮膚が過敏になり、ひじょうに治りにくい状態になる場合もありますので、ぜひ早めにお近くの皮膚科にご相談ください。