2009年6月
【水曜】 心房細動とは
正常な人の心臓は規則正しく、休みなく動いていますが、その打ち方が不規則に乱れて打つ病気があります。その一つに「心房細動」と言う病気があります。
心臓には、上から心房と心室とがあり、心房から順番に収縮して血液を送り出しているのですが、その心房が規則正しく打たなくなってしまった状態を言います。この病気は、日本人全体では約0.6%です。しかし80歳以上に限ると20人に1人というありふれた病気で、年をとるに従って増える病気です。
この病気になって何が困るかと言うと、血液が規則正しく流れないために、心房の中で血液が淀んでしまって、血の塊を作ることがあるからです。その血の塊が自然に溶けてくれれば良いのですが、運悪く血液の流れに乗って全身の小さな血管で詰まってしまうことがあります。詰まる場所によって脳梗塞、心筋梗塞など、大変な病気を引き起こします。そのようにならないために治療が必要となります。
心房細動を引き起こす病気として、高血圧、糖尿病、甲状腺の病気、弁膜症、心不全、冠動脈の病気、先天性の心臓病など、様々な病気があります。病気になっていなくても、ストレス、過労、睡眠不足、お酒の飲みすぎ、煙草の吸いすぎ等でも起こります。
治療については、まず、原因になっている病気があればその治療をし、その上、心房細動の発現を抑える薬を与え、心臓の機能を改善、保護する治療を行います。原因の病気の有無にかかわらず、心房細動の治療は、薬を使わない簡単な手術で治す方法もありますが、多くの人はお薬を使う治療をしています。その方法は、最初は、脈の乱れを元に戻す方法を考えます。脈の乱れが戻らなければ、心臓の打ち方をゆっくり打たせる方法を行います。そのほか、血の塊が出来ないように、血を固まらせない治療法も併せて行います。
もし、貴方が心房細動ではないかと思われましたら、生活習慣を見直して、くよくよ考えず、気分転換を図ってください。その上、ご自分で症状を記録してみてください。記録の方法は簡単で結構です。発作の起こった時間や、状況を中心に記録してください。夜に多いタイプか、昼に多いタイプか、昼夜関係なく起こるタイプか、などの発作の状況がわかりますと、治療法を選ぶ参考になります。その記録をもって主治医の先生に相談しましょう。そして、どのような治療法を選ぶかを主治医の先生と話し合ってください。
きちんとした養生をされれば、心房細動も恐れることはありません。